ダメなことなんてない。自分がつくってるだけ

さっき嘘を書いた。昨晩日本酒を飲みながら、覚えている記憶が一つある。それは、泣きながら文章を書いたことだ。朝起きたら見るに堪えないものだった。この部屋と同じぐらいの大惨状だった。だけど私が、きゅとメモ用紙を抱きしめたのは、昨日の私がきわめて素直に、今はもう隣にいない人のことについて考えていたからだ。

私ね、傷ついている。幸せじゃない。幸福は遠い。だってたった一人しかいないと思っていた君は遠く去ってしまった。二度と帰ってこないだろう。だけどこんな言葉で君を語れるぐらいには、少しは元気になったんだよ。君は元気ですか。元気でいてくれたら嬉しいです。しばらくずっと君のことを書くでしょう。喪失と復活が私の物語だから。私に書く源をくれて本当にありがとう。どうか幸せになってください。

お酒の大失態はいつでも恥ずかしい。昨日はとくにひどかった。取りたいだけ取りたい人と連絡をとってしまった。LINEもTwitterも通話記録も怖くて開けない。しかもおそらく、核の私があらわれて、好きなだけ人前で泣きわめいたくせに、その内容を一ミリもおぼえていない。
最悪だ、人間としてアレだ。だけど、ふと昔言われた言葉を思い出した。

「ダメなのに!ダメなのに!と思ってるから燃え上がるんだよ!タブーをつくるな、超えて行け!」

数年前、年上のお姉さんにガールズ餃子パーティーで言われたことだ。

「こんなこと、ないしは、こんな関係、絶対ダメなのにやっちゃう…!みたいなのは、全部思い込みだからね。たいがいダメな理由はその人にしかわからない自分ルールだし。しかもダメなのにやっちゃった……って感情は依存度を高めるだけだし。自縛プレイをしたいんじゃなきゃやめな!タブーなんか無いからね!自分がつくってるだけだからね!」

君に連絡をしたすぎてどうしようもない私、だけどできなかった私、だらしない私、人に電話して泣きわめいた私。でもダメなことないよ。ダメは自分がつくってるだけだからね。
と、ようやくAMらしいことを書けたところで、終わる。

また再来週、お会いしましょう。その間に私は、きっと今とは全然違うことで悩んだり泣いたりしてるだろう。君もそうだといいな。じゃあね。

Text/葭本未織

初出:2019.04.03