いじめられっ子で、デブで、冴えなくて、ケータイショップのアルバイター。
主人公の要素が何一つない。映画でいうと脇役。いや、脇役ですらないかもしれない。町の片隅でただ通り過ぎるだけ、フォーカスが合わずボンヤリと映り込むエキストラでしかない。
でも、そんな男が主人公の映画があるのです。
頼りがいのある一人の女性に励まされて、夢と希望を忘れず、自分を信じて生きてきたからこそ。彼が主人公になる瞬間の映像はいまやYouTubeで1億回以上も再生され、世界中に知れ渡っている。
これは、たった“ワンクリック”から広がる“ワンチャンス”の実話です。
2007年、イギリスの大人気オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』の会場で大喝采を浴びた、一人のケータイ販売員。ずっと負けっぱなし人生だった彼の身に起こる、挫折と栄光の物語です。
実在する主人公ポール・ポッツを演じるのはブロードウェイで上演された『One Man, Two Guvnors』でトニー賞を受賞し、一躍時の人となったジェームズ・コーデン。彼を主演に軽快なコメディタッチで描き、最後には必ず感動を約束してくれるのは『プラダを着た悪魔』のデビッド・フランケル。
『誰も寝てはならぬ』『清きアイーダ』などの名曲が主人公の灰色に包まれた人生をバラ色に変え、その成功を華々しく彩ります。
負けっぱなし人生を支えた女性の存在
【簡単なあらすじ】
歯並びが悪く、デブ。そのせいで幼少期からいじめられ続け、自分に自信が持てないポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)にはオペラ歌手になる夢がある。
誰からも馬鹿にされ続けてきた彼に初めてできた恋人、そして良き理解者・ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)は彼の心の美しさを知り、才能を信じ、励まし続ける。
携帯販売員の仕事をしながら、夢を信じて生き抜いてきたポッツにやがてチャンスが訪れる。憧れの声楽家・パヴァロッティの前で歌う機会に恵まれたのだ。
しかし、彼はそこで大きな挫折を経験する。もはやオペラ歌手の道は閉ざされたと落ち込むが、妻になったジュルズや友人に支えられ、あるオーディション番組に挑むことになる——。