光の牢獄“女子校”は今も続いている

 女子校の女の子たちは今日もキャーキャーと騒いでいる。表層部は美しい地と森と海で出来ていても、その最下層ではマグマがドロドロと燃え盛る。騒ぎの中では冷笑と中傷が入り交じる。

 まるで独裁者の支配下にあるどこかの国。はたまたアルカトラズの牢獄。
誰が偉いわけでもないはずの女子校のスクールカーストで、ただひたすら光り続ける者は除け者にされ、その光を灯す者は脅される。そして脅す者もまた、かけがえのないものを守っている。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと 山戸結希 山邊未夢 新井ひとみ 庄司芽生 小西彩乃 中江友梨 大和田健介 内田春菊 SPOTTED PRODUCTIONS 5つ数えれば君の夢 少女 スクールカースト 大人 煌き 2014『5つ数えれば君の夢』製作委員会

 誰が主人公でもない。誰も悪くない。5人の女の子が皆同じくらい重要に描かれ、同調しても、対立しても、5人全員に感情移入してしまう。
さくが守り抜くもの、りこが貫くもの、宇佐美が信じるもの、都が寄り添うもの、委員長の感じるもの。それらは誰もが生きていく中で少なからず小脇に抱え、何度も何度も地面に落とし、急いで拾っているものなのかもしれません。光の牢獄“女子校”は、今まさに身に覚えのある世界ではないでしょうか。

 終盤、それらの葛藤が一極集中する。少女たちの眼差しに小指が震え、唇が振動していく。心が打ちのめされる。
眩い光に満ちた感動が、身体の弱い部分から効いてくるのです。

その煌めきはすべての“女の子”を丸裸にする

 時に、少女たちは大切なものを自ら打ち壊してしまう。
それは、その子たちにとって命より惜しいものかもしれない。自らを人質にし、他人に身代金代わりの感傷を促す。
育ててきたものや培ってきたものを破壊し、全く違う次元であるはずの二つが体育館で同時に花咲くシーン。
それは圧巻の一言、では片付けられない。二言も三言も言葉を紡いでも敵わない。

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 全編ピアノの伴奏が響き渡り、その鳴り止まない音楽が突然止まる。窓から差し込む光が少女を包み込む。その瞬間、胸が張り裂けそうになる。息が詰まるのと同時に、爆撃を食らったかのような耳鳴りが残る。
心をえぐる映画です。表層部が崩れて、涙でメイクが取れ、急いでハンカチを取り出してももう遅い。最下層のマグマがバレる。ずっと隠していた熱が見つかってしまう。

 その光は観る者の正体を晒す。被害者は10代だけではない。
「君もそうだろう?」と、20代、30代、40代までもが丸裸にされてしまう。
山戸結希監督の感性が光となり、少女の美しさと汚さを同時に曝け出すのです。

 言葉と言葉と言葉の間に挟まれて、すり減ったのは作り込まれた“大人”の形。まつ毛も、メイクも、服も軒並み涙で剥がされる。
上映が終わり、映画館が明るくなれば、そこには生身の少女しか残らないのでしょう。