約束と全然違う! 嫉妬と焦りがチャオチャオを襲う
「5年前の約束通り、ずっと好きだった彼とゴールイン」
映画は理想を描いてくれる。だけど、現実の人生はラブストーリーのように上手くはいかない。せめて映画だけでもそうであってほしい。チャオチャオもそんな気持ちだったはずです。
それなのに5年後のリー・シンは、ゴージャスな美女を隣りに置いて幸せそう。笑顔でこっちを見てくる。さらにその美女から強烈なフックが襲いかかります。
「あなたが別れてくれたから、この幸せがあるの」
これにはチャオチャオ、もはや瀕死状態です。悔しさでいっぱいの彼女は、なんとか約束を遂行させようとリー・シンに迫る。その方法がなんとも可愛らしくて目が離せない。嫉妬させようとゲイの友人を強引に恋人に見立てたり、挙げ句の果てに色仕掛けをしてみたり。セクシーに肩を出してみた結果、「風邪ひくぞ」で一蹴。
空回りする彼女の姿に笑わせられるも、なんだか可哀想すぎて泣けてくる。
しかし、その涙が後半は本気の涙に変わっていく。
リー・シンがずっと抱えていたウソと、チャオチャオの5年間秘めていた事実とは?
それを知った時、この映画のタイトルに『最後』がついている意味を理解してしまうのです。
男女は美味しいご飯と受け皿の関係であるべき?
ラブコメディの前半とはうって変わって、後半はシリアスなメロドラマに変貌を遂げる。
あの日、チャオチャオはなぜ「5年後」と言い出したのか。その理由が分かると映画はたちまち涙を誘う。今まで笑っていた部分が涙に変わる。この二部構成がなんとも見事なのです。
出会った頃、落ち込んでいたチャオチャオに「一人じゃ笑えない」と優しく声をかけたリー・シン。そのセリフが後半で対になる時、二人が叶えた夢が互いに作用する。
一流のシェフとして美味しい料理を作るリー・シンと、その料理を乗せるお皿を作るチャオチャオ。
二人の夢が叶う事でラブストーリーが成立し、そこで初めて彼の優しくて甘い味が喉を通っていく。受け止めるのは彼女の皿しかない。
笑顔も料理も、一人では意味がないのです。
男女は、美味しいご飯と受け皿の関係でいることが理想なのでしょうか。もちろん、”最後の晩餐”の時まで。
「好き」と「好き」の関係だけでなく、5年間で築き上げた二人の夢が「好き」を支えている。一生の恋愛を目指すすべての男女の夢に問いかけてくるのです。