いかにして悲劇のヒロインと成り果てたのか? 『汚れなき祈り』

汚れなき祈り クリスティアン・ムンジウ コスミナ・ストラタン クリスティナ・フルトゥル ヴァレリウ・アンドリウツァ ダナ・タパラガ マジックアワー 2012 Mobra Films – Why Not Productions – Les Films du Fleuve – France 3 Cinema – Mandragora Movies

 親しい女友だちと、ふとしたことで仲違いに。そんな経験は誰にでも1つや2つあるかも知れませんが、この映画の2人を引き裂いたものとは……。
ルーマニアの修道院で実際に起きた事件を題材にした悲劇。前作『4ヶ月、3週と2日』でルーマニア映画初のカンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いたクリスティアン・ムンジウ監督の巧みな演出力により、クリスティナ・フルトゥルとコスミナ・ストラタンが映画初出演にも関わらず、本作でともに女優賞を受賞。
悪魔祓いの犠牲となった若い女性2人の実話を、徹底したリアリズムで迫ります。

 孤児院で育った若い女性アリーナ(クリスティナ・フルトゥル)はドイツからルーマニアへ戻り、孤児院で一緒に育って親しくなったヴォイキツァ(コスミナ・ストラタン)に会いに行く。だが、信仰に目覚めたヴォイキツァは心を通ざせようとせず、窮屈な人間関係と彼女の裏切りによりアリーナは次第に心を病んでいく。
やがて突然発作を起こし、病院に運ばれるアリーナ。修道院ではそれが悪魔の仕業とみなし、悪魔祓いが執行される――。

 幼い時期をともに過ごした仲であれば、大人になって再会したときは感動を分かち合いたいものです。
しかし、この映画では信仰と心の闇が2人を引き裂き、更には多くの人々を巻き込んだ悲劇へと向かっていきます。
女同士の友情とは、絆とは何か……。その大切さを改めて知ることになるでしょう。
本当の悪魔とは一体? それは、あなたや誰かの心の奥底にひっそりと潜んでいるのかも知れません。

汚れなき祈り クリスティアン・ムンジウ コスミナ・ストラタン クリスティナ・フルトゥル ヴァレリウ・アンドリウツァ ダナ・タパラガ マジックアワー 2012 Mobra Films – Why Not Productions – Les Films du Fleuve – France 3 Cinema – Mandragora Movies

3月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町他、全国順次ロードショー

製作・監督・脚本:クリスティアン・ムンジウ
キャスト:コスミナ・ストラタン、クリスティナ・フルトゥル、ヴァレリウ・アンドリウツァ、ダナ・タパラガ
配給:マジックアワー
原題:DUPA DEALURI/2012年/ルーマニア・フランス・ベルギー/152分
URL:映画『汚れなき祈り』公式サイト

Text/Michihiro Takeuchi