パンクロックのように恋愛の常識を覆す

記事・画像に関連した言葉を複数入れる COLONY FILMS LIMITED 2016

 エンはセックス・ピストルズといった“パンク”が大好きで、父親に捨てられた家庭環境の中でもパンクファッションに身を包み、同じくパンクを愛する仲間たちと自由奔放に過ごしている。

 一方、ザンは故郷の惑星のルールや常識に囚われて、自由な意志や行動ができない。他の惑星の者からしてみたら、意味不明な儀式やダンスなんてバカバカしい。でも、それは地球の住人に対しても、同じことが言えるのではないだろうか。気の合わない仕事仲間と波長を合わせる。好きでもない仕事に時間を奪われる。限られた人生の中で、なぜ人間はこうも意味不明な行動を取るのか。
それを否定し、破壊するのがパンクロックだ。

 元々自身の惑星のしきたりに疑問を呈していたザンが、突如ボーカルとしてステージでパンクスピリットをぶち撒けるライブシーンは痛快でしかない。本作がSFファンタジーで描くのは、我々の惑星の現実でもあるのだ。

 エンとザンの“星を越えた”ラブストーリーは、まさにパンクロックのように常識を覆す。

 パンクを愛する者が作ったとしか思えない、心地よい破壊の数々に、しばし普段の束縛から逃れられる。
どこか自由な気分になって、二人の恋路を応援したくなるに違いない。

ストーリー

 1977年のロンドン。パンクを愛していながらも、女の子にまともに話しかけられない内気な少年・エン(アレックス・シャープ)は、ある日仲間と乗り込んだパーティで不思議な少女・ザン(エル・ファニング)と出会う。パンクの話に共感してくれるザンに、エンは恋に落ちる。

 しかし、ザンは遠い惑星から来た女の子。あと48時間後には、その惑星に帰らなければいけない。
二人は互いの惑星の大人たちの決めたルールに反発し、パンクな恋の逃避行に繰り出す――。

12月1日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
キャスト:エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン
配給:ギャガ
原題:HOW TO TALK TO GIRLS AT PARTIES/2017年/イギリス・アメリカ映画/102分
URL:『パーティで女の子に話しかけるには』公式サイト

前売り券
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次回は<年の瀬のとんでもない傑作!10年片思い中の24才OLの恋『勝手にふるえてろ』>です。
中学時代の同級生・イチに片思いを続ける24才OLのヨシカは、会社の同僚・ニに告白されて人生初の経験に舞い上がるも、イチと再会するためにある計画を企てる——。綿矢りさの同名小説を松岡茉優主演で映画化。