異性と手を繋いだことのない奥手な少年にとって、女の子は未知なる存在。
魅力的な笑顔を振りまく女の子がまるで魔法使いのように、少年の心を奪っていく。それが特殊能力みたいで、まるで宇宙人かのように。
いや、実は全くその通り。内気な少年・エンが恋したのは、まさに遠い惑星から来た女の子でした。
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』で一世を風靡したジョン・キャメロン・ミッチェル監督が、エル・ファニングとアレックス・シャープを主演に描いた青春“パンク”ラブストーリー。
パンクキッズの若者たちのボス的存在を演じるのは、なんとオスカー女優のニコール・キッドマン。他の作品ではなかなか見られない怪演も見所の一つだ。
“パンク×SF”と全く噛み合わない同士の二つが見事に融合し、いまだかつて見たことのないラブストーリーに仕上がっている。
初恋はSFなのかも知れない
神秘的で未知な存在の少女を演じるのに、この女優の他に一体誰が思いつくのだろう。最近でも『ネオン・デーモン』や『20センチュリー・ウーマン』で小悪魔的キャラクターを演じてきたエル・ファニングだけあって、童貞の心を鷲掴みにするような瞳だけですでにエンを撃ち抜く。
はっきり言って荒唐無稽だ。パンクキッズたちが忍び込んだパーティが、まさか遠い惑星から来た者たちの儀式で、そこで出会った女の子に恋するなんて。でも、初恋において異性と初めて触れ合う緊張感や、知らない領域に踏み込んでいく感覚はまるで“未知との遭遇”。SFの世界に潜り込んだように、エンがザンの魅力に取り憑かれていく。その心模様は誰しもどこか身に覚えがあるだろう。
48時間後には遠い惑星に帰らなければいけない。そんな刹那的な恋の衝動が、1970年代のパンクロックの疾走感に乗って突き進んでいく。
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