死ぬまでには観ておきたい映画のこと

クドカン節炸裂!会いたい人に会えない地獄『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』

好きな子にキスもしてないのに死んでしまった! 未練を残して命を落とした高校生男子が地獄でロックバンドを結成し、あの世から現世へ想いを馳せる——。宮藤官九郎監督が長瀬智也×神木隆之介で描く異色の青春コメディ。

「死んだらどうなる?」この想像をもう何度したのだろう。
死はいつでもどこでも入り口がある。こんなにも身近なのに、その先に何があるか誰も知らない。

 未練を残して死にたくない。好きな人にきちんと気持ちを伝えてから死にたい。と、死について語るとシリアスになりがち。

 でも、この映画はそうさせない。真剣に考えるのが恥ずかしくなるくらい笑い飛ばしてくれる。
それも地獄の底から、ロックバンドの爆音とともに!

たけうちんぐ 映画 『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』 宮藤官九郎 長瀬智也 神木隆之介
© 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation

 NHKの朝ドラ『あまちゃん』や現在放映中の『ゆとりですがなにか』など、数多くの人気テレビドラマの脚本を手掛ける宮藤官九郎監督の最新作。
長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、古田新太といったバラエティに富んだ出演陣を“クドカンワールド”に引きずり込む。

 テレビ以上にスピード感溢れる台詞回しと自由度の高い演出で、恐ろしいイメージの“地獄”がシュールで笑いに満ちた世界に生まれ変わる。
この中に一度入ってしまったら、もう二度と現世に帰って来れなくなる。
ある意味、笑いの地獄です。

輪廻転生で現世とあの世を行き来する!
前代未聞のアドベンチャー

たけうちんぐ 映画 『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』 宮藤官九郎 長瀬智也 神木隆之介
© 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporation

 針の山を歩かされる。閻魔様に舌を抜かれる。灼熱の釜で焼かれる。……地獄は恐ろしいイメージばかり。
でも、この地獄は違う。
バンドが演奏してるし。モッシュとかダイブしてるし。終わったら物販してるし。
こんなに楽しい地獄があっていいのでしょうか。

 舞台は地獄に限らず、輪廻転生することで現世とあの世を行き来する。
閻魔様に“畜生”のハンコを押されることで大助(神木隆之介)は様々な動物に生まれ変わり、何度も現世に舞い戻ってくる。
その動物のバリエーションと大助の声の吹き替えがなんとも可愛らしく、ソフトバンク犬のような、はたまたディズニーアニメのような。

 映画の形式にとらわれず、時折コントにもバラエティにも音楽番組にも変身する作風でクドカン節が猛炸裂する。それもCGを使わず、すべて一つのセットで撮影されたからこそ。
演劇のような生々しい空気感が現実離れした世界観とあいまって、一切制約のない演出の自由度が楽しくてしょうがない。

 小ネタに次ぐ小ネタで、125分間ノンストップで笑わせ続ける。
最初は正直、地獄のノリについていけなかった。大助の視点に寄り添うように、突如としてやって来た地獄に場慣れするのに時間がかかる。
それでも、ロックバンド“地獄図(ヘルズ)”の赤鬼・キラーK(長瀬智也)の現世での過去が明るみになると「あ、そっか全員死んでるんだ」って事実を目の当たりにし、登場人物に親近感を抱くことで作品の根底に潜む切ないテーマに気付く

 大助のひろ美への恋心と、キラーKの元恋人との思い出。物語は二人の未練が軸となる
この二つが音楽によってシンクロすることで、次第に笑いから涙に切り替わってくるのです。