10年前にあった「察してもらう」恋愛論

そもそも10年くらい前は、仕事でも恋愛でも、察してもらうことが当たり前で、空気を読めることがすごいことであり、賢さの証拠くらいに言われていました。
知っている人も知らない人もいるかもしれませんが、約10年前に『小悪魔な女になる方法』という、めちゃくちゃ売れた恋愛本がありました。
この本のベースには“小悪魔的な放っておけない女になること”の大切さが書かれているのですが、当然常日頃から自己主張せよとは書いていません。
あくまでも思わせぶりな態度舞い、希望は男に察してもらうことが大事なのです。

それが今では、自分はどう思うか、何がしたいか、どうなりたいかを明確に考え、周りを気にせずどんどん行動していけなんて、日本人は10年の間にアメリカ人にでもなったのでしょうか。
もちろんどっちのやり方が正しいとかではありません。やり方にも向き不向きがあるよねってことを言いたいのです。
元々受け身な恋愛を好んでいたのなら、男性に好きとか嫌いとか察してほしいと望んでもいい。ただし察しやすい小悪魔力を発揮してこそ、受け身の恋愛はうまくいくのかもしれません。

自分から言うのが上手いのか、相手を誘導するのが上手いのか。
行きたい方向に自分から進んでいくのが好きなのか、手を引いてもらうのが好きなのか。

どっちが楽にできそうか。過去の経験もそれなりにたまってきた今、もう一度考えてみると、愛とか恋とかの悩みは、ちょっとだけシンプルになって腑に落ちてくれるかもしれません。

Text/おおしまりえ

初出:2018.08.01