想像力があれば、疑心暗鬼の不毛さに気付ける

言わない、という行動には、主に2つの理由があると、わたしは考えています。
1つは、後ろ暗いことがあるため、相手に言うことで大問題に発展するから。
もう1つは、わざわざ言う/言わないという考えに至らないほど重要なことだとは思ってないから。

相談文には、「こんなに私を大事にしてくれているのだから、心配する必要はない」と書かれていますし、恐らく彼の場合は後者なのでしょうが、言うべき/言わなくていいの判断基準は人それぞれ違いますよね。自分にとっては大したことないと思っていても、相手も同じだとは限らないし、むしろ言うべきことだと思っている場合もあります。
それに、どうしてそう判断したのか、と理由を問い詰めたところで完全に理解し納得することは容易ではないですし、納得できたとしても言った事実/言わなかった事実は変わりません。
残るのは、追及したという事実のみで、これは場合によってはお互いの不信感を招くことにつながります。
だから、恋愛に限らず対人関係においては、相手が隠しているものや自分の知らない部分を本人が開示を望んでいないにもかかわらず無理やりこじ開けて、そこで知り得た情報を物事の判断材料にしてはいけないのです。
先にもお話ししたように、疑心暗鬼にはキリがありませんから。
しかしコミュニケーションさえ怠らなければ、自分が知っておくべき部分がきちんと見えてきます。
相手の意図が見えなかったとしても、そこにつながるヒントには気付けます。
そうなって初めて、物事を判断すればいいのではないでしょうか。

そもそも、信用というのは一朝一夕で築けるものではありません。
時間も労力もたくさんかけて、徐々に出来上がっていくもの。
相手を信用すること、そしてそうであろうとする姿勢はもちろん大切なんですが、“信用”というワードにあまり囚われすぎるのもよくないんですよ
信用の意味を、本質を見て見ぬ振りするだとか、相手の一挙一動全てを鵜呑みにすることだと勘違いし続けていると、それがたとえ最初は信用の範疇だったとしても、いずれ依存に陥り、そのうち破綻を招き兼ねません。

だからこそ、大事になってくるのが、想像力です。
想像力は、過去の経験に基づいて培われていき、それに伴って人を見る目や決断力、自分を守る術、逃げたり戦ったりする際にも役立ちます。
怠けず、ズルをせず、視野を広げて、価値観をアップデートしつつ人と接していけば、自ずと身についていきます。
そして相手の立場になって考える必要があるときや、自分の中で不安視するものが見つかったときに、「どうしたらいい関係性になれるのか」「自分の気持ちを守るためにどうしたらいいのか」「こういうときに自分はどう動いたらいいのか」という、判断材料として活かしてほしいと思います。

想像力が豊かであればあるほど、疑心暗鬼に陥ってしまいがちに感じてしまうかもしれませんが、これらは全くの別物です。
疑心暗鬼というのは、視野が狭まった状況の中で、偏った考えを何度も反芻させる、とてもつらい作業。
でも、想像力が豊かなのは、様々な方向の隅々まで線を張り巡らせられている状態。

想像力が豊かであれば、「この疑心暗鬼を突き詰めた先に自分が望むゴールはあるのか?」ということに気づき、疑心暗鬼に囚われてばかりにならないはずですよ。

どうか、Twitterとは離れた部分で。視野を広く、想像力を豊かにして、あなたの目の前にいる普段の彼自身を、きちんと見つめてほしいと思います。

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Text/ものすごい愛
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