誰かを“利用する”のではなく“きっかけ”にしよう

失恋をしたら「早く彼のことを忘れたい」と思う人が多いように感じますが、わたしは別に過去の恋愛を無理にきれいさっぱり忘れなくてもいいと思うんですよね。
いつまでも覚えておきたい大切な思い出だって絶対にあるでしょうし、ときには忘れずに心に留めておくことも、未来の自分のために必要となり得ることですから。

とはいえ、行き場のない感情を抱えたまま日常生活を送るのは、とてもしんどいと思います。
食欲がなくなったり逆に倍増したり、ふとしたときに思い出して涙が勝手に溢れてきたり、「もっとああしていたら」「あのときこうしていれば」とタラレバな思考に陥って眠れなくなったり、心臓がキューッと締め付けられて息が苦しくなったりなど、きっといろいろな不調をきたすかもしれません。
でも、「忘れられないんだから仕方がない!」「どうにかこうにかなるまで、とことん付き合ってやろうじゃないの!」と割り切って、感情のかたちが勝手に変化してくれるまで放置しておいてもいいのではないでしょうか。

そして、元彼に気持ちがあるまま、他の人と付き合ってみようとすることも、別に悪いことではないと思います。
新しい恋愛を始めることによって、「わたしには元彼しかいない」と思い込んでいた世界が広がって前向きになれたり、感情のかたちが変わる手助けになったりするわけですし。
「過去の恋愛から距離を取るために、別の男性を利用する」なんて言ってしまえば聞こえは悪いですが、「ずっと動けずにいた場所から一歩踏み出すために、新しいことを始める」という観点で見てみれば、とてもいいことだと思うんですよね。
だって、それは“利用”ではなく、“きっかけ”に過ぎませんから。

ただ、あなたが前を向く“きっかけ”にできる状況にもかかわらず、あくまでも受け身の姿勢であり続け、自分自身で変わろうとする気がないままでいるのは、“利用している”と捉えられても仕方がないように思います。
「過去の恋愛を断ち切るのには、長い時間がかかる」「失恋したあと、新しい恋愛に目を向けることに躊躇してしまう」というのは当たり前なのかもしれませんが、だからといって、流されるがままにセックスをすることは必然なのかというと、また違いますよね。 そもそも「友達としては接していきたいけど(好意的には捉えている)」「仕事で悩んでいたから(慰められたかった)」「一緒にごはんを食べに行ったから(そういう雰囲気になってしまって)」なんてのは、理由にはならないでしょう。
自分を守るために都合のいい言い訳ばかり並べられても、わたしはあなたに対して「それじゃあ仕方がないよね」とは、言えないのです。
失恋してつらい気持ちはわかります。そんなときに優しくしてくれる人に甘えたくなる気持ちもわかります。
ですが、相談文を読む限り、あなたは何に対しても向き合おうとせず、ただその場凌ぎの楽な方へといっているだけのように感じてしまいました。

元彼は相手に自立を求めるタイプで、同僚は愛情深い性格だと書かれていることから、なんだか「愛情深い人には甘えても依存してもいい」「自立を求めてくる人は愛情が薄い」と言っているようにわたしには聞こえましたが、いかがでしょうか?
おそらく、あなたは両者を明確に比較することで、元彼に気持ちがありながらも同僚に甘えてしまっている状況や、流されるがままにしてしまったセックスの理由など、つまり“根底ではよくないと自覚している行動”を、無意識のうちに正当化してしまっているように思います。
違う人間なのだから性格が違うのは当たり前ですし、そこに甘んじたままだと、あなたの感情が宙ぶらりんになっている状況はいつまでも変わらないのではないでしょうか。