過去の経験がいまの自分をつくっている

そんな誰もが羨む関係を築けているにもかかわらず、あなたには目に見えない不安がずっと付き纏っているようですね。
「当時の熱情を彼が思い出す瞬間があると思う」「過去の女性に連れ去られるような気がする」「でもわたしをぞんざいに扱うことはない」とあるので、あなた自身が言うようにそれは“歪んだ被害妄想”なのでしょう。

自分の中の嫌な妄想や勝手な思い込みというのは、どうしても自力で解決するしかありません。
悪い部分ばかりに目を向けていると、それに飲み込まれそうになって、すでにある幸せまで信じられなくなってしまいますからね。
だから、無理矢理にでも、力ずくでも、いい部分だけを見続けていいように考えることが、今のあなたには必要なのだと思います。

「男は名前をつけて保存、女は上書き保存」という、恋愛における男女の思考の違いを形容している言葉を聞いたことがあるかもしれません。
男性は昔の女性からのプレゼントや手紙など思い出の品をとっておき、女性は「物には罪はない!」と高価なブランドのアクセサリーや鞄は別れたあとも使って、手紙や写真などはさっさと捨ててしまう、というアレです。

もちろん、その人の性格や考え方にもよりますから、一概に男はみんなこう! 女はみんなこう! と決めつけることはできませんが、あなたの旦那さんが過去の恋愛に名前をつけて保存するタイプの人だったとしても、嫌な態度を取られているわけでもないのに責めてしまうと、今の旦那さんになる過程を否定することになり兼ねません。

ひとつ頭に入れておいてほしいのは、今あなたに対して愛情をたっぷりくれる旦那さんは、過去に様々な経験をした結果つくられたもの、ということ。

思い出というのは、いいもの、美しいもの、ふとした瞬間にエモーショナルを感じられるものほど、美化される傾向にあります。
それは、その出来事から時間が経てば経つほど顕著で、特に人に話すときには盛られることが多い。だから、思い出が美化されるというのは当然のことで、今の自分の心の拠り所のひとつとして大事にしておいていいものだと思います。

ただ、思い出というのは美しいものばかりではなく、失敗や恥ずかしい経験、一生蓋をしておきたいような黒歴史も存在します。
特に青春時代は自分の言動に後悔したり、どん底まで落ち込んだり、恥ずかしさのあまり顔を覆うような経験だってあるのです。あなたの旦那さんだって、そう。

あなたの中にある嫉妬を細かく分解していくと、「もっと早く夫と出会いたかった」「わたしが初めての彼女になりたかった」という感情があるのかもしれません。
でも、まだ今よりも未成熟な旦那さんの初めて付き合った女性があなただったとしたら……? 
上手くいっていたという保証はどこにもないのです。
そして、旦那さんがそういった過去の経験から学んでいなかったら、あなたに対して誠実であり続けてくれる人になれていなかったかもしれません。

いろんな過去があったからこそ、お互いを思いやって、結婚して、子供を設けて、今の穏やかな幸せな生活があるのではないでしょうか。
そういった意味では、あなたたちが出会ったのはベストタイミングだったのです。