自分が一番にならないと気が済まなくて苦しい
自分が1番でないと気が済まない性格が苦しいです。
私は自分の価値観だと、女にとって重要な部分全てが「そこそこいいレベル」です。容姿は、地味な大学のミスコンファイナリストになれる程度(慶応とか上智では無理)。育ちは履歴書をパッと見ればお嬢様だと言われるけど、資産家でも名家でもないただの庶民。学歴は日本トップだけど、+αを持つ人はいくらでもいるので大したことはないレベル。モテる方だけど、水商売をすると小さなお店のナンバーワンが関の山。交際相手からは、自他共に認めるほど「人が変わったように私に夢中になる」のですが、長くても1.5年くらいしか続きません。結局これってモテてないのかもしれないですね。
このように、複数のジャンルでそこそこいいレベルを兼ね備えてはいるけど、どれも抜群の武器ではありません。少なくとも彼氏にとっては最高の女でいたいと思ってしまいます。そのためすごく嫌な言い方ですが、付き合う相手の社会的ランクをぐっと落としました。すると「なんで俺なんかと?」と女神のように扱われます。当然相手の歴代の元カノと比べても全てのジャンルにおいて私が1番です(こういう言い方をしていますが、付き合ってる相手のことはちゃんと好きです)。
だけど、結婚も見据えて交際している今の彼がバツイチだったこと、私よりずっと育ちの良い女性と10年付き合った経験があることを知り、嫉妬や敗北感、そして気持ちの冷め(諦め?)を感じました。元々私は器の異常に小さいタイプなので、ヘビーすぎます。「ここまで好きになったのは初めて」だとか、「10年続いた子とは酷いこともして大事にできず、相手に忍耐力があったから続いた」とか、「結婚したけど最終的には離婚した」とか言っていますが、受け入れられません。彼氏に訴えても無意味ですが、つい責めてしまい、別れも考えています。
もう二度と過去の話はしないと言っていましたが、一度知った以上ずっとどこか嫌な気持ちがあります。私は自分のコンプレックスを他人に勝つことで満たしているので、負けている(しかも彼氏がそれを把握している)ことが耐えられません。大好きだったはずなのに、これを知って別れまで考えている自分の卑屈さにもショックです。いつまでもこんな性格では自分も周りも苦しいとわかってはいるのですが、考え方を変えるのは難しいです。彼氏との関係もどうしたら良いのでしょうか(31歳・女性)。
桐野夏生さんの「グロテスク」をすぐ読んで
あなたはとても自己分析ができる聡明な女性ですね。すごく面白い人です。
あなたの負けず嫌いなところ、どこかで見たなと思ったのですが、桐野夏生さんの『グロテスク』に出てくる佐藤和恵さんというキャラクターみたいです。読んでみてください。多分あなたの方が少し美人という以外、嘔吐するくらい自分と重なるはずです。
あなたは現代に生きていますが、この小説にでてくる佐藤和恵さんの生き難さはあなた以上のものでした。男女雇用機会均等法一期生の総合職OLとして、男尊女卑によるガラスの天井などに悩み、美醜による差別に悩み、勝ちたい勝ちたいと願うあまり、彼女は数奇な運命をたどることになります。
私も負けず嫌いの20代だったのですが、佐藤和恵さんの物語を読んでから分相応とか、すべてに勝ちたいと思うことで逸してきた「自分の本当にやりたいこと」を追求しようとか考えるようになりました。
私は『グロテスク』を読んでいる時、時折自分の心を見られているようで、胸が締め付けられて、部屋で一人、ギャーっと声を上げてしまいました。かなり精神的にも体力的にもエネルギーを奪われますが、良作です。30代に入ったばかりのあなたに心から読んで欲しいと思います。
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