現代のサムライが戦う圧巻の合戦図! 天明屋尚「韻」展

 ミヅマアートギャラリーといえば、会田誠、鴻池朋子、山口晃など、現代美術の世界で今、脂のノリにノッたアーティストたちを擁する最注目のギャラリー。
 中でもひときわ異彩を放つのが、日本の伝統的な絵画を現代の文脈の中によみがえらせた独自の絵画表現「ネオ日本画」で一躍脚光を浴びた天明屋尚です。
近年は、南北朝期の婆娑羅、戦国末期の傾奇者といった、過美(華美)で覇格(破格)な美の概念を“BASARA”と名付けて提唱しています。

天明屋尚 天明屋尚 「韻」(部分) 2012 全体サイズ 126.5x300cm 木、金箔、アクリル絵具 TENMYOUYA Hisashi / Courtesy Mizuma Art Gallery

 そんな彼の新作個展が、10月10日(水)~11月10日(土)にミヅマアートギャラリーで開催されます。展示のメインとなるのは、ただならぬ気迫漂う乱世を描いた合戦図の大作「韻」。飾り兜をまとう馬と虎にまたがった男たちが、絡み合って戦う群像劇の壮麗さは圧巻です。
 会場ではさらに、来場者を驚かせるようなある仕掛けが施されているとか。一見、鑑賞者の見る目を試すかのようなその趣向は、芸術作品を取り巻く視線や制度を鋭く批判しているようにも受け取れます。
権威主義的な美術体制に一石を投じる「武闘派」を旗揚げした彼らしく、その挑発的な姿勢はまさに“BASARA”の精神そのもの。
 また、本展では作家初となる大規模なインスタレーション作品も披露しています。その内容は作家の希望で開催まで秘密ですが、合戦図と対をなすその試みは、安全神話の崩壊した3.11以降の世界にある種のリアリティをもたらす意欲作。現実と虚構の境界を揺さぶるような体験ができることでしょう。
 現代美術の最先端ともいえる本展は、アートなデートにぴったり。合戦図とインスタレーション、どちらも作家の渾身のものとなる作品を、彼とその目に焼き付けて!

名称:天明屋尚 「韻」展
会期:2012年10月10日(水)~11月10日(土)
会場:ミヅマアートギャラリー(東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F)
開廊時間:11:00~19:00(日・月・祝休廊)
問合せ:03-3268-2500メール: gallery@mizuma-art.co.jp
HP: https://mizuma-art.co.jp

Text/Fukusuke Fukuda