母性ってなんだ?

そもそも母性とは何なのか。言葉の意味を調べてみた。

ぼ‐せい【母性】
女性のもつ母親としての性質。母親として、自分の子供を守り育てようとする本能的特質。「母性本能」「母性保護」⇔父性。(デジタル大辞泉より)

母親としての性質とは。本能的特質とは。ますますわけがわからなくなった。ちなみに対義語である「父性」は「父親としての性質。⇔母性。」だそうだ。父親としての性質とは?母性の項と比べてあっさりしている。

わたしに妊娠経験はないから、「妊娠(あるいは出産)と同時にとめどなく湧き上がるもの」だと言われたら、反論のしようはない。けれど、妊娠の経験がないのは男性たちも同じなはずなのに、どうして母性を信じて語れるのだろう。
大人になっても、特別子どもが好きになることもなかったし、他人の子どもは可愛いが、ときめきは仔猫を見た時の方が大きい気がする。

今のわたしは29歳。高校生の頃ならすでに子どもを産んでいると思っていた。高校時代のわたしが現状を知ったら、がっかりするかもしれない。

母親になった友人たち

最近わたしの周りでも、育児中の女性が多くなってきた。彼女たちに母性を感じないかと言われたら言葉に困るが、少なくとも私に見えている範囲のお母さんたちは、無限に湧き上がる神聖なもので育児をこなしているようには見えない。普通に疲れているし、苛立っている。
けど、その上で愛情と責任感を持って子どもを育てているのだと思う。だって、小さくてか弱い生き物が、自分が世話をしないと死ぬのだ。『本能的特質』ほど神秘的でも神聖でもないかもしれないが、我が子に対する愛情も責任感も、とても尊いものだと思う。

わたしは今でも、ドラマや映画で「親(とくに母親)なんだから当たり前」「子どものためならなんだってできる。それが親」なんてセリフを聞くと、何だか胸が苦しくなる。自分も含めた世間が無意識に求めた「普通の(そして最高の)親」の像がどうしても自分と重ならない。

予定もないのに逃げ出したくなってしまう自分は、女として、いや人間として失格なのだろうか。そんなことを、最近はぼんやり考えている。

Text/白井瑶

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