恋愛は、大事なバカさを与えてくれる

 終電も近くなり、「二軒目一緒に行こうよー」と絡んでくるサラリーマンがとうとううるさくなった頃、全員にしている質問をしてみた。……あなたにとって、恋愛って何ですか?

「恋愛は…人生の飾りかなあ。別に恋愛しないでも全然生きていけるけど、それだと全部自分で考えて、自分の理由で自分の人生を決めなきゃいけないじゃない?」

 あまりにも含蓄のある言葉が始まったので、真剣な面持ちであさこちゃんを見つめる。周りの忘年会たちとは比較にならない真面目さが女たちに流れる。

「でも恋愛があると、一緒にいたいからここに住もうとか、あの仕事をしようとか休日は合わせようとか、自分の道が変わっていく。その人のために何が出来るかなあとか、毎日の考え方も変わっていく。一人の殺風景な人生よりかは、恋愛っていうデコレーションがあって生きてた方が、いいかなあって思うんだよね

 ホントにそうだね、となんの異論もなく頷いた。連載の最後に、マジでいいこと言ってくれるわ。

「今一人で淡々としてるからこそ、そう思う。恋愛って人をバカにしてくれるから。そのバカさってきっと必要な、大事なバカさなんだと思う」

 あさこちゃんらしい発言だった。真面目だけど、くそ真面目じゃない。
力の抜き方も知ってて、広い視野を持っている。学校の外でずっと生きてきて、たくさんの人と向かい合ってきた強さを感じた。

「これから、何にでもなれるし。どんな道も選べるし。私は、まだ、若いもん」

 そうだ、24歳。まだまだ若い。元カレが亡くなっても、彼女の人生は続くんだ。

 その人にはその人だけの人生がある。今のその人を作り上げた、人生がある。
それがどんな人生だったかなんて、過ぎ去った今は実は誰も分からない。
本人だって実は、自分が生きてきた道のりがどんなだったかしっかりととらえてたりしない。
「そうありたかった過去」や「今の自分の気分に応じた過去」を知らないうちに選び、作り上げ、語っている。

 だからこそ、人の人生の話はこんなにも面白いんだなあと、つくづく感じる。
今目の前にいる人も、階段ですれ違う人も車内の人も、全員当たり前だけど過去があってドラマがあって、取り巻いてきた人びとがいる。
そんなことおくびにも出さず、街を歩き電車に乗っているけれど、みんなみんな決して戻れない過去がある。
そんな当たり前のことを感じさせる、幸せな企画だ。

「初めましての恋バナ図鑑」、今回でちょっと一応のおしまい。
また、どこかの土地で、「飲みませんかー?」と声をかけ、ドキドキしながら杯を交わしたい。そして、お互いの人生を、大声で大笑いでシェアしたい。
今までありがとうございました。あなたとも飲んでみたかったな。待ちゆく人のリアルな恋バナがここにある…。かんぱーい!
≫バカになれる恋をしよう≪

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