「モテたいのにモテない人」は
大抵自分語りが長い

ひとくくりに相手に興味がないと言っても、無自覚に興味がない場合と、自覚的に、相手に興味を持たないようにしている場合とがある。
無自覚に興味を持たない前者はじゃあ何に興味を持っているかというと、他でもない自分自身である。モテたいのにモテない、女の子と付き合いたいのにうまくいかないと悩む人は大抵、自分語りがやたら長い。自分はこういう人間で、こういう風に努力していて、こういうヴィジョンを持っている。
たしかに、自分が立派な人間だとアピールしたい気持ちはわかる。みんなにある。でも、みんなにあるからこそ賢いやり方ってものがあって、それっていうのもやっぱり、先に相手に関心を向けるということなのだ。
相手の話に耳を傾けて、痒いところに手が届くような質問を挟む。それによって相手に、“自分は立派な人、素敵な人、特別な人なんだ”と先に思わせる。これが成功すれば、相手も自然と自分のことを、立派な人、素敵な人、特別な人だと思ってくれるようになるのだ。

そして相手に興味を持たないようにしている場合は実はまだよくて、何しろ相手の声を聞く耳をもっている人だ。
ただ、生身の人間から返ってくる予測不能なリアクションを受け止める勇気がない。怖いから、他人とのコミュニケーションを完全に回避しようとするか、もしくは好きなようにボールだけ投げて、あとは知らないって感じで開き直って背中を向けてしまったりする。「セックス」というメッセージがなぜ寒い上にダサいのかというと、言いっ放しで逃げているからである。
基本的にはアウトという前提で、でも百歩譲って「セックスしませんか?」と送っていたら、まだわずかにマシだった。

「自分と違う考え方」は
相手への興味の入り口

何にせよ他人に興味を持って、理解を深め合っていくには勇気がいるし、そもそも時間がかかる。家にいる方がマシ、と思うかもしれない。でもそれで家に帰ったらそれまでなので、まずは相手のために時間を使うことを惜しんではいけない。
同じ時間を過ごして、最初はぎこちない会話を交わしていると、ふと、相手が自分と違う考え方や感じ方をしているな、と気づくときがある。臆病だとここで議論になりそうだから、踏み込むのに躊躇する。でもそれが相手への興味の入り口なのだ。

まずは、どうしてそう思うのか聞いてみよう。それでもはっきりしなければ、そんな思考回路が相手のどんな体験から出来上がったのか、輪郭を抽出していくように、いろんな方向から質問を投げてみる。そうするうちにいつか、こういうことか〜と、最初は理解不能だった相手の思考回路が、立体的に描ける瞬間がやってくる

相手を理解できた、と思うのは一見エゴイスティックなようだけど、人間というのは複雑にできているので、わかったと思えばすぐにまた別の疑問が生まれて、またその謎を解明しようと出どころを探る旅に出る。
そんな風に、絶えずお互いの理解をアップデートし続けて、それを怠らないというのが、関係性を深める、ということなんだと思う。