最近、政治の問題やらで「忖度(そんたく)」ということが話題になっていますね。不勉強な私はこの言葉を聞いた時に、一瞬「キムタク」や「ヤマタク」 などの「タクヤ」という名前を持つ新しい方なのかと思いましたが、
文脈を見ていると名前ではないようだったので、大急ぎで調べました。
幾つになっても知らないことって沢山あるんですね。
さて、忖度を辞書で調べると
「他人様の心や気持ちを推し量ること、意を汲むこと」
という意味のようです。
何だ、それって日本人の美徳とする行動のことねって思いました。
昔見た「新世紀エヴァンゲリヲン」で主要キャラのミサトさんという女性が
「日本人の身上は察しと思い遣り」と言っていて、深く頷いたことがあるので、
忖度は日本に深く根付いた価値観だと理解しました。
ある学校法人問題での忖度
今回ある学校法人の不正事件で、忖度が問題になったのは
役人の方が上位者の意向を忖度して
通常の手続きではなく、自らに与えられた裁量で色々と進めたということが原因のようです。
役人の方は国家や都道府県、市町村という大規模な組織の権力を与えられています。
なので権力の濫用によって私腹を肥やすことがないように
法律で色々と制限をされています。
ただ法律でがんじがらめにすると、実務に支障が出るので、ある程度の裁量というのも認められています。
今回はそんな法律と裁量の間の問題で、そこに忖度が働き、
理不尽かつ違法な行動があったのではないかということで問題となっています。
私は今回の件は公務員が緊張感を持って
仕事を進めるための良い見せしめになったと思いますし、
監視する機関がより注意を持って仕事をしようというきっかけになって
良かったと思います。
ただ、権限や裁量の割に公務員の給与が少ないなとも思います。
厳しい財政事情でも、賄賂や政治的な思惑に屈しないくらいの給与は
守ってあげて欲しいなとも思います。
公務員に対して批判ばかりいう人もいますが、そういうことを言っていると優秀な人が公務員を目指そうとしなくなります。
上手く人材を使って、オープンに効率的に仕事をして欲しいです。
忖度を超えて
さて、公務員という公僕の世界の忖度はあまり良くありませんが、
一般社会での忖度は日本人の美徳であると私は思っています。
会社で出世をするためには会社の上席者の真意を忖度して判断するのが当然ですし、
学校や社会でも周囲や年長者の心中を忖度することで円滑に進むことが多いです。
ただ、過度な忖度には、問題点もあります。
それは上の意向、周囲の意向ばかり気にしていると、オリジナリティや革新性が育たないからです。
日本が誰かの真似をして、追いついてゆこうという時代なら、
忖度して空気を読んで、周囲のいうことを聞いていれば、あまり問題は無かったでしょう。
でも自分がフロントランナーになったとき、
リーダーになったときに、周りの顔色ばかり伺っていたら
どうなるでしょう?
例えば大企業病とよく言われ、
名門企業が時代とともに衰えるのは
忖度ばかりを得意とする優等生が沢山集まることで
企業を成長に導く革新性や新しい事業への挑戦ということが
できない集団になるからです。
ときに忖度せず、周囲の意見も聞き入れず、
小さいことからでも良いから、自分一人で考えて判断する練習をすると良いと思います。
私のオススメは海外への一人旅です。食事から現地でのプランまで、
全部自分の内面と対話しながら自分で判断するので、良い練習になります。
人生も旅のようなものです。
ずっと自分勝手を通すのはいかがなものかと思いますが、
要所要所で忖度を超えた自分の決断ができると、楽しい人生になるのではないかと私は信じています。
Text/肉乃小路ニクヨ
次回は <下世話だけど、目が離せない!お父さん以外も楽しいワイドショー講座>です。
「つなぎ融資の女王」の逮捕が記憶に新しいですが、彼女の事件においてはその罪の内容よりもむしろ彼女自身に世間の目がフォーカスされました。ではなぜ人は規格外ともいえるような人物を眺めるためにワイドショーを見るのでしょう?そこには好奇心だけではない理由がありました。