変わるシステム 変わる働き方

国は子育てや介護で人が抜けても対応できるシステムを築いた企業にインセンティブ(税制面等の優遇)を与えていけば良いし、企業もそういうシステムを構築した方が長期的に見て、良い人材を確保できるというメリットもあります。
時代の流れはこの方向でしょう。

仕事のやり方も変わっていきます。
今までは属人的な仕事が多く、そのノウハウの蓄積は当事者と引き継ぎを受けた人に限定されていました。
多くの人がそのノウハウにこそ自分の価値があって、その価値に対して給料をもらっているという自負があったのでしょう。
ある意味では職人的な考え方で、今までの競争社会的な考えから脱却出来ていない考え方です。

これからは人口が減ります。
どんどん人が減って、色々な人が複数の業務を兼務したり、誰かの業務を代わりにこなさなければならない時代です。
今までのように仕事を自分で囲い込むのでなく、誰が見ても分かる状態にして、誰でも自分の仕事を引き継げるし、自分も他の人の仕事ができるということが大事になっています。
ある意味、真の意味でのゼネラリスト(総合的な視点を持ち、多くの業務をマネジメントできる人)か、地域や時間限定でマニュアル化された業務を行うかに仕事は二分化するでしょう。

ハラスメント対策の意味

そんな時にハラスメントに無頓着な人材がいたら、問題を起こしかねません。
これからは誰とでもどんな仕事でもやれるという器用さが求められる時代です。
だから企業は今、仕事の見える化、マニュアル化とハラスメント対策に躍起になっているのです。

そこにAI(人工知能)やロボットが更に加わります。
コンピュータが意思を持つようになるとコンピュータに対するハラスメント、コンハラとか、機械に無理なオペレーション(指令)を出して壊す、オペハラなんていう新しいハラスメントが出てくるかもしれないですね。

ハラスメント対策が社会をがんじがらめにしているという考えがあるようですがそうではありません。
それは表面的な理解で上っ面の対策ばかりをみているからです。
でも、たとえ最初は上っ面の対策でも、ハラスメントと戦う姿を幼少から見ている世代には、ハラスメントへの意識が当然高くなりますし、対応してみて理解が進むということもあります。
昨今のLGBTに対する社会の寛容さはセクハラ対策が浸透して来て、人権に対する社会や若い人の理解が進んだからこそ、進んでいるのだと私は考えています。

ハラスメント対策を悪いことと捉えず、自分の変容や解放のきっかけにしていくのが個人の正しい接し方だと思う私です。

Text/肉乃小路ニクヨ

初出:2016.10.18

次回は <ハロウィンでコスプレを楽しむ背後に透ける日本人の宗教観>です。
「パリピ」という言葉が広まったきっかけが街中で若者がするハロウィンの仮装。今年も渋谷が仮装パーティー会場となる時期です。そんなコスプレを楽しむだけのハロウィンは「本来の意味と違う」と批判もされますが、ニクヨさんは悪いことだとは考えません。ではニクヨさんが考える日本のハロウィンのポジティブな意味とは?