なぜ相性の悪い2人が付き合うのか

 それでも、どうしても自分ばかりが失っている気持ちは拭えません。平穏を選んでも常に搾取されているような不満感にのしかかられ、かといって闘争を選ぶほどの気概はない。すべては自分の不甲斐なさのせいだとわかってはいるのですが、これについてはもう、自分自身ではどうしようもないことをようやく最近理解しました。

 ゆえに、相手選びを間違えないようにすることが必要だということも。あまりに互いに多く歩み寄りが必要な相手との関係は、最初から諦める。親しく付き合うなら、同じ価値観を持っている人にする。だって、わたしは好きな男性とは闘争が出来ないタイプなのですから。そういう意味で、いまの夫は、「わたしが何をしようと放っておいてくれる人」であり「俺をもっと優先しろ」というタイプとは正反対なので、ストレスはありません。

 なぜ相性の悪い人ばかりを好きになってしまったのか、相性の悪い人ばかりがわたしのことを好きになったのか。その理由を、二村ヒトシさんなら「心の穴」というのでしょうけれど、わたしはわたしなりに考えてみました。すると、もしかして、わたしは実は、「恋愛するからには、恋人が最優先」という考え方のほうが、“正しい”と考えているのではないか、ということに思い至りました。恋人の価値観のほうが正しく、けれども、自分はその正しさを実行できない。だからこそ、正しさを実行している人に、自分を正してもらいたいと考えていたのではないかと思うのです。

 そうして、人に自分の矯正を委ね、何度も痛い目に遭い続けて、懲りてようやくのこと、わたしにとっては、「恋愛をしていても、恋人が最優先とは限らないというスタンスなんです」が正しいと思えるようになりました。みなさんはちゃんと、自分と相性のあう相手、自分が自分のままでいられる相手を、好きになることが出来ますか?

Text/大泉りか

次回は <手酌、ペット、マンション購入……滅びろ、独身女性を焦らせるジンクスなんて>です。
「手酌すると…」「ペットを飼うと…」「マンションを買うと…」などなど、〇〇すると嫁に行き遅れる、というジンクスは多々ありますが、はたして「婚期が遅れる!」と焦って結婚して幸せになれるのでしょうか?夫の親戚との食事で気づいた大泉さんのコラムです。