メンヘラの別れ際は「往生際が悪い」!?

それまで、付き合っていた男性と別れるという時に、修羅場になったことはありませんでした。うっかりと千葉のヤンキーと付き合った時に「十人に姦されるか、二十万用意するかだ」と脅されたという、ちょっと違った種類の修羅場こそあったもの、「別れたくない、別れない」とごねられたことは、それまでなかったのです。

なので、その人に「別れたい」と告げた際に、さんざごねられたのは衝撃でした。「ずっと一緒にいると約束をした」「心変わりするだなんて、酷いじゃないか」とこちらの非を訴えかけたと思ったら「いきなり別れを告げられても受け入れることなんて出来ないに決まっているだろ」と感情論で責めてくる。かと思えば、「なんでなんだよ!」と大きな声を出してあたりのものを、殴ったり放り投げたりして脅すものだから、万が一を想定して包丁を隠したりもしました。

心変わりは当然にあり得ることです。「わたしへの愛があるなら、それを受け入れろ」なんてことは、さすがに言いません。ただ、わたしは自分の矜持として、人に別れを告げられた時は、受け入れたいと思っているタイプです。

そこまで感情とエゴを剥き出しにしてイヤイヤしてくる人のメンタリティが理解できず、目の前にして、どう対処すればいいのかと途方に暮れました。だって、いくらごねても、結局、振られるほうには最終的には「諦める」という選択肢しかないのです。しかし、向こうはそれが出来ないという。
けれども、いくら出来ないといっても、成人した大人です。だからわたしは、話せばわかるはずだと信じていました。対して元恋人も、「話がしたい」「話を聞いてくれ」と何度もわたしに訴えかけました。
「話をする」ということでわたしたちの思惑は合致し、話し合いを続けることになったのですが、しかし、結論からいうと、その選択は大間違いでした。

というのも、わたしが話を聞くのは、「相手の心の整理をつけて諦めてもらうため」です。しかし、相手がしたいのは、「おだてなだめごねて、別れるというわたしの決意を翻すこと」なのです。
冷静な話し合いなど望むべくもなく、自分勝手な人間だと謗られたり、泣き落としにかかられたり、発作みたいなのを起こされて、こちらが優しくせざるを得ない状況を作られたりと、話せば話すほど、互いの神経は消耗していくばかり。
「なんで話してるのに、わかってくれないの!」なんてキレようものなら、さらに10倍くらいのパワーでもって、自分の意を通すためにゴネまくるのだから、メンヘラ恐るべし(あっ、言っちゃった!)。