とある結婚記念日のお祝いに
わたくしごとですが、つい先日、3度目の結婚記念日を迎えました。何度か危機に直面しながらも、無事に結婚4年目を迎えることが出来たお祝いに「何か贅沢なものを食べよう」と話し合ったところ、ふたりとも、米の間にもう一段鰻の挟まった『鰻の二段重』を食べたことがない、ということが発覚し、ならばこの機会に……ということで、神田の鰻屋でお祝いの膳を囲むことになりました。
しかしながら、土壇場で「そんなに量が食べられないかも」とわたしのほうは怖気づいて『上』でお茶を濁したのですが、夫のほうは二段重にトライ。「正直、贅沢ではあるけど、米の量が少なくって……普通のがいいな」という感想をいただき、「なるほど、実際に経験してみないと、わからないことがあるのね」と思ったのでした。
さて、ふたりで鰻を味わいながら、わたしが何を考えていたかというと、夫と過ごしてきた3年の月日に思いを寄せていた……のではありません。実は、酷い別れ方をした別の男性のことを思い出していました。思い出すキッカケとなったのは鰻です。
その彼は、そもそも、あまり金銭的に恵まれた状況の持ち主ではなく、またお酒を飲まないこともあって、外食自体をあまり好まない人でした。わたしはもともと、酒飲みでかつ、外食好きな女でしたが、同棲を始めたことがきっかけで、彼に合わせるかたちで内食するようになり、そのほどんとの食事作りはわたしが担当することとなりました。もともと料理を作ることは好きなので、ストレスはありませんでしたが、たまには「外食したいなぁ。〇〇が食べたいなぁ」と思うことは多々ありました。
しかし、何度か、誘いを「恥ずかしいんだけど、お金が厳しい」と断られたこともあって、外出した際にひとりで外食したり、たまに友人と会って好きなものを食べることで、なんとか外食欲を満たしていたのでした。
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