既婚者の恋人が踏み込んではいけない関係

落ち着いてから考えてみたが、家でスッピンだったり、ノーブラでいることは『あぐら』に入ると思います。なにか話しかけてきた時に、仕事や家事に忙しく、生返事を返すこともあれば、理由なくイライラして当たることもあるし、機嫌が悪くて冷たくしてしまうことだってある。「好き?」と聞かれて「フツー」と返したり……うん、思い出せば出すほど、『あぐら』としか言いようのない言動ばっかりだ。

しかし、『生活』を送っていく上で、いつも男に女として評価されることだけを考えてはいられない。もちろん、『いつも優しく、可愛く、綺麗でいる』なんていうことが自然に出来る人もいれば、努力してしている人だっているだろう。
けれど、せっかく結婚というものをして家族になると決めたのだから、そういう『女らしい配慮』であったり『女ならではの姿』ばかりではなく、もう少し『人間』というところにフォーカスを当てるような関係を築いくことに挑戦していきたいとも思う。

『あぐら』を、自分を律することだけに使うのならばいいけれど、他人に対して、自分の恋愛の正当性をアピールするために使うのならば、正直なところ「人の家庭に対して余計なお世話」なのではないだろうか。

自分が未婚であるか既婚者なのかは問わず、“既婚者の恋人”には、配偶者との『ふたりの生活』があることを理解して、そこには踏み込まず、自分とはまったく関係ないものとして、切り離せられる人でないと、ダブルであれ、一方通行であれ、不倫はつらいのではないですかね。

Text/大泉りか