さて、続いては、このコーナー史上もっとも闇の深い怨霊エピソードです。わりと前に届いていたのですが、ついにご紹介せねばならない時がきました。

熱湯をかけられたりしました

ぐりとまらさん(東京都)
エピソード:
 自称ミュージシャンのフリーターと付き合っていました。
 彼は歌も下手で人望もなく、お客さんは私だけということもしばしば。
 でも行かないとぶんなぐられるので毎回行きました。
 数年前の大雪のバレンタインの日。
 ライブ終了後、中でずっと飲んでいる彼をライブハウスの前で待っていました。そうしないと怒られるので。
 大雪の中で数時間待っていると、対バンのメンバーの一人が出てきてました。
「このままだと死ぬから早く帰った方がいいよ」と駅まで送ってくれ、傘をくれました。
 泣きました。こんな恋人に従う必要がないと初めて気づきました。
 その後、鍋で殴られたり熱湯をかけられたりしましたが、なんとか別れました。
 傘の彼は今も音楽を続けており、一緒に遊んだりしています。私は好きなのですが、もう恋愛に疲れてしまい、告白していません。

 さらっと鍋で殴られたりしているの、ほんと怖い。

 このコーナーをやってると、ときどき「恋愛なんてしたくない」って思います。「僕もひどい人間だと言われてきたけど、結構マシなほうなんじゃないだろうか」と変な安心感があったりもします。世の中にまともな男が少しはいることを祈りたい。

 DVの人と付き合う人は、次にも同じようなタイプの人を選んでしまいがちらしいので、次の相手はくれぐれも自分の好みとかだけではなく、慎重に選んでくださいね。

 あと、ぜったい耐えちゃダメだよ。すぐ逃げるべし。逃走は最大の正義。

 いただいた短歌はこちら。

粉糖の降る街で泣く マジパンは捨ててもいいとミューズが歌う(ぐりとまら)

 自分の心を粉雪でそっと癒やすような優しい短歌ですね。

傘のない私はどんどん白くなりきっと春にはとけてしまうね

 というわけで、そろそろ来月のテーマの募集に移らねばなりません。

 来月のテーマは、卒業式のシーズンということで、「卒業にまつわる怨霊ラブメモリー&短歌」を募集します。

 (バレンタインのエピソードも、平行してもう少しの間だけ募集します。今年のバレンタインのできごとなど、教えてください)

 ご投稿はこちらのフォームから。

 卒業は別れや告白、すれ違いがつきものだと思います。僕は男子校だったはずなのに、甘酸っぱくて黒いプルーンみたいな怨霊メモリーが結構あるなあ。そんなのも思い出しつつ、皆さまのエピソードと短歌を鑑賞していければと思います。

 ご投稿お待ちしております。

Text/佐々木あらら