「恋愛のつらい思い出から生まれ出た心の中の怨霊を、短歌にして読んでもらうことで成仏させてあげよう」というコーナー。
今回は長めの投稿を2本。
夜通し演劇論を浴びせられました
やすこさん(東京都)
エピソード:
彼との初めてのバレンタイン。
サプライズプレゼントを用意し、カワイイパジャマとカワイイ下着で、イチャつくつもり満々で彼を家に呼びました。
彼はその日お芝居を見てきたらしく、家に入ってくるなり「面白かったよー」と嬉しそう。
でも内容を聞くと、相当前衛的なもので、高校からガチンコの演劇部だった私には理解できず、つい「それ、演劇じゃなくない? どの辺が面白いの?」と言ってしまいました。
それが彼の魂に火をつけてしまい、
「やすこちゃんにとって、演劇の定義って何?」
「舞台と観客の境界線とは?」
「観客の定義とは?」
と、大学のゼミかと思うほどの質問を浴びせられまくり、気づいたら朝。
私が「観客の定義」について一生懸命考えている間に彼は爆睡。
プレゼントも渡せずじまいで「男なんだから、もうちょっとバレンタインという行事に興味を持てよ」とキレたくなりました。
この場面そのものが演劇的で、ひとつのお芝居がつくれそうです。
パジャマをさりげなくアピールしてみせたり、会話を「プレゼント」というキーワードに誘導しようと奮闘する女と、そういうメッセージをことごとくスルーしていく鈍感な男の、すれちがいが楽しい二人芝居。
もしかしたら彼は、そういう即興劇を演じさせることによって、実践的に演劇を語ろうとしていたのかもしれません。
まあともかく仲良さそうで何より。
いただいた短歌は、こんな感じ。
とりあえずチョコ受け取ってキスしてよ日本に生まれた男の義務よ(やすこ)
ほのぼのした感じのもやもやが、そのままほのぼのと整った形になってますね。
二人の仲の良さが悔しいので、ちょっといじわるな返歌を。
練習のとおりの顔で驚いて受け取ってやるサプライズチョコ
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