父親が人生に落とした影

K: 母は62歳でようやく離婚して、今は兄も弟も実家に集まるのよ。父がいる時は絶対寄りつかなかったけど。
母は母なりに子どもを愛してくれたけど、やっぱり歪んでたよね。自分が“妻の座”を失いたくないという、世間体やプライドがあったと思う。でも子どもにしたら家の中に暴れる人物がいて、安心できないのが一番イヤやん。

アル:その後の子どもの人生に深刻な影響を与えるしね。

K:私の心に影を落としたのは父親だもん。自尊感情が低すぎるから、クズの方が安心して、マトモな男性と付き合えなかったり。クズの元彼に「おまえはダメな人間だ!」と人格否定されたりとか、精神的なDVも受けたよ。

アル:あかんやんか!

K:あかんねんけど、私には普通だったというか。「自分は男にひどい扱いをされて当然」という感覚があったのも、父親の影響だと思う。

アル:そうか…。ぱぷりこちゃんとの対談でも話したけど「ひどい扱いをされた時、ちゃんと怒れること」が本当に大事だよね。

 私は男に支配的な言動をされると「キサマの睾丸を爆破してやる!」と思うのよ。
それは中学から父親不在だったからかもしれない。支配的でモラハラな父親がいるより、いない方がずっとマシだよね。うちの父もボケナスだったけど、両親が早めに離婚したのは不幸中の幸いだったと思う。

K:アルもお母さんのことで大変だっただろうけど、やっぱり父親との関係が、その後の異性関係に与える影響は大きいよね。

アル:でもさ、父親ってあんまり責任追及されないよね。「子育ては母親の責任」という価値観が根強いと思う。 私は母との関係で苦しんだけど、母は父の被害者だったと思うよ。

K:うちの母も父の被害者だよね。母や祖母の時代は、女が自立して生きていくのはもっと大変だったし。 女三代だめんず家系なのは「父親」という存在の影響が大きいと思う。

アル:女友達のお母さんも、夫の浮気にずっと苦しんでいてさ。それを見て育った彼女は、尋常じゃない嫉妬心に苦しんでいたのよ。
彼氏の携帯が繋がらないと「浮気してるに違いない」と妄想絵巻が広がって「もう別れる!!」とブチ切れて号泣したりとか。
そこで今の旦那さんは「じゃあ結婚しよう」と言ってくれたんだって。

K:おお~!

アル:大抵の男は「お前おかしいんじゃないか」「俺のこと信用してないのか」「こんな面倒くさい女は無理」ってなるでしょ?
でも旦那さんは父親のトラウマのせいだと理解してくれて、彼女の絶対的な味方になってくれたのよ。いま結婚10年目だけど、彼女は「嫉妬深かった自分がウソみたい」と言ってるよ。