湯山玲子&二村ヒトシが語る!モテと快楽があなたを不幸にする理由

第1回:すべての女は面倒くさい!

 上野千鶴子さんとの対談『快楽上等! 3.11以降を生きる』が好調の著述家・湯山玲子さんと、『すべてはモテるためである』『恋とセックスで幸せになる秘密』が話題沸騰中のAV監督・二村ヒトシさん

 4月16日(火)に開催された、「男女のモテと快楽について」をめぐるお2人の白熱したトークショーから、その内容のごく一部を抜粋し、全4回でお届けします。

女が「モテ」を捨てだした!?

湯山玲子

湯山玲子さん(以下、敬称略): いま、「モテ」ってすごく分が悪い言葉になってしまいましたね。
「草食男子」なんて言われて、男の人が大挙して女の人から逃げ出したと思ったら、さすがに女の方も、アンアンの特集での「セックステク、プロ並になる」モードから正気に返ったというか、いまや女の人も「ケッ」てなもんでね。

二村ヒトシさん(以下、敬称略):「女も男を必要としなくなってきた」ってことですか?

湯山: 「負け犬」って言葉が生まれた辺りから、「もういいよ、女だけでも楽しくやるよ」みたいなムードはあったと思うんだけど、最近はもう、最初から男なんていらないっていう人が増えてる気がしますね。日大芸術学部っていうところで教えてるんですけど、毎年入ってくる新入生を見て、年々感じてるよね。

二村: それは湯山さんのおっしゃる「光合成」ってのと関係あるのかな。

湯山: あ、「光合成」を知らない方に説明しますと、これはオナニーのことですね(笑)。光合成のように、自家発電でまかなえるっていう。

二村: 湯山さんが、上野千鶴子さんとの対談本『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)の中で、自分はオナニーとセックスを別腹で楽しむバイリンガルだ、とおっしゃっていたことに非常に共感しました。

湯山: 私は、男性でフェミニズムの論陣に入ってくる人って希少でしょ? もちろん、今までにもアカデミズムや信条から入ってくる人はいたけど、性の当事者での現場感覚となると、そこはちょっと「無い事」になっているからね。その中で、二村さんだけはそこを乗り越えてますからね。

二村: それは完全に誤解であり過大評価なんですが、でも、ありがとうございます。

湯山: 二村さんが強いのはさ、AV監督やって自分も出てるじゃない? 
やってるからこそ語れるっていうのはあるよね。セックスにおいての社会的な刷り込みはもの凄くて、男は「責めと暴力性」をポテンツモチベーションにしている事が大半だし、それに気づいちゃった男はもう、セックス不全になりそう。という前に、セックスは非常に割り切れない物を抱えるわけで、人の言葉を借り手は伝えられない。
ということは、モテてない奴に女や恋愛やセックスはちょっと語れないと思うし。

二村: 僕は、もともとモテたとか、女性が得意だったからAV監督になったわけじゃなくて、むしろ逆。モテないオタクだったんです。

湯山: 二村さんの素性を知らない方に説明しますと、彼は「痴女物」という、要するに女性が男性を襲って欲望を発散させちゃうみたいなシチュエーションのAVを20年近く撮ってきた方です。

二村: レズのAVや、すごい美少年を女装させて女としてあつかったりするのも撮ってます。
基本的に僕が撮ってるのは、僕にとって都合のよい世界。つまりオタクが作るAVなんです。
そんなモテないオタクである自分に、自分で説教をしたのが『すべてはモテるためである』(イースト・プレス、以下『すべモテ』)という本なんです。