彼は私のために言ってくれてるから
もっとがんばらないと

こう思ってしまうと、「もっとがんばらないと!」と思うようになり、彼の言うことを聞き、彼が怒らないように必死に気を使い、彼の為にとすべての神経を 注ぐようになってしまいます。

それで、彼の機嫌が常に良く保たれるのであればまだマシなのですが、(私はイヤですが…)デートDVをする人ってそうはいかないんですよね。
 こんなにがんばっても、また怒られてしまうんです。
がんばっても、がんばっても、ゴールの無いレースに出ているかのようにがんばり続けさせられてしまいます。

そんな中でも自分は彼の為に一生懸命やっているという実感を持つこともあります。
彼からの人格否定を叱咤激励のように捉えようと必死に耐えている女性もとても多いです。

 本当は傷ついているにも関わらず、必死で「彼は私の為を思って言ってくれているの」と自分に言い聞かせるようになっていってしまうのです。
私はこうなっていく女性をたくさん見ていますが、これが一番辛いことではないかと思います。

彼にヒドイことをされたと分かっていても
彼の怒りがおさまると「やっぱり好き」を繰り返す

更には、上記と違って人格否定をされる時は本当にイヤで、言われている最中などは

「もう絶対に別れよう!」
「こんな男絶対にイヤ!」
「なんでこんなこと言われなくちゃいけないの!」
とちゃんと、ヒドイことだと認識出来ている女性もいます。

だったら、別れればいいのに、と思ってしまうでしょうがそこがデートDVの怖いところです。

 彼の怒りが収まり、優しくなった途端に自分の気持ちも収まってしまったり、もう少し様子を見てみようかなと思ったり、やっぱり優しい時の彼は好きなので、怒っている時に思っていた強い決心が一気に揺らいでしまって、別れるに至らない。
でも、また彼が怒りだすと、やっぱり「あの時別れてればよかった」と思い、機嫌が直ると「やっぱり好き!」を繰り返してしまいます。

デートDVの『人格否定』は、言われる側ではなく言う側が絶対に間違っています。
人に対してそんなことは言ってはいけないというのが大前提です。
自分の育ちが彼と違っていようが、彼のお家より貧乏だろうが、親の職業が彼と違っていようが、自分に欠点があろうが、失敗をしようが、だからと言って『人格否定』していいことには繋がりません。

本当にこんな暴言や「人格否定」の言葉で苦しむ女性が一人でも減ってくれればいいなと思いつつ、次回は『家族批判、友達批判をされる』についてお届けします。

Text/荻尚子