若い頃に触れ合わなかった事実は後から利いてくる

ところで、過去、イケメンと関係をしたことなかったかな……と考えてみたのですが、まぁひとりか二人、三人くらいはイケメンの範疇に入れてもいいかな、という男の人がいて、ただし、昨今に流行っているような笑顔が子犬のようなかわいい系や、王子様タイプではなく、どちらかというと素行が悪そうな雰囲気の人ばかりでした。そこを踏まえてよくよく考えてみると、座りの悪さが発動するのはかわいい系・王子様タイプに限ってのことで、ガラ悪系の人であればどんなに整った綺麗な顔をしていても、さして緊張もしない。

それはたぶん過去にそのタイプの人と関係を持ったことがあるという経験からの慣れがあるからで、逆を言えば、これまでかわいい系や王子様タイプとは縁がなさ過ぎて、どう対応すればいいのかが自分の中で確立できていない故ではないか。もしかして若い頃に正統派イケメンと一度か二度、セックスをしていれば、いまの緊張や憂鬱はなかったのではないかということで、ようするに若い頃の食わず嫌い、とまではいかないけれど、触れ合わなかったという事実は後から利いてくる。小学校一年生になった息子が、いまだ蒸した芋もかぼちゃを決して口に入れようとしないのを見てつくづく思うし、わたしもいまだ蒸した芋とかぼちゃは口にしない。

Text/大泉りか