無理のない範囲でやれることを

日記をつける

まずは、日記をつけます。
個人的な話で恐縮ですが、わたしは以前勤めていた職場の上司は、こいつはパワハラという言葉が生まれる元になった人間なんじゃないか? もしかしてパワハラの元祖か? というくらいのパワハラクソ野郎でした。
当時は腹立たしさから日記をつけていたのですが、それがのちのち役に立つことになります。
日記、といってもメモ書き程度のものです。自分が上司に言われたひどい言葉の数々、上司のパワハラによって被った業務上の実害、上司が他の人を何時間も怒鳴って泣かせているのを目撃したことなど、そういった事実のみを日付とともに箇条書きで書き溜めていました。

そして、立つ鳥跡を濁さずなんで知るか! お前の面にフンを落として跡を濁しまくってからわたしという鳥は果てまで飛び立ってやんよ! の精神で、仕事を辞めるときに役員に報告書として提出しました。その後、わたしが提出した報告書をもとに聞き取り調査が行われることとなり、同じようにパワハラ被害を受けていた人たちが守られた状態で働けることになった、という経緯があります。

これはわたしが責任のある立場ではなかったこと、職場に対する恩義も愛着もなく「こんな職場なんざ辞めてやらぁ!」とハナから辞める気満々だったこと、誰にどう思われたって関係ないと思っていたこと、もともとハッキリと自己主張できるタイプだったこと、そういった様々な要因があったからこそできたのだろうな、と。
今後も仕事を続けるつもりで、周囲の人たちとの関係も維持した状態を望んでいるのなら、こんな風に強行できないと思います。

ただ、彼は周囲の人たちにあれこれ吹き込むような人間ですから、今後あなたの立場が今よりもずっと悪くなるような、真実がひとつも含まれていない嘘で固めた報告をしたり、あなたがさも加害者であるかのような噂を好き勝手に流す可能性は否定できません。そういう状況で、あなたがいくら「真実は違う」と口で説明しても信じてくれない人、「死ねって言われたって……ちょっとした軽口でしょ~?」と軽く受け止める人(冗談だとしても「死ね」と言葉を掛けるなんて許されないことですが)が現れて、余計にあなたが傷ついてしまうかもしれません。

もしそうなってしまったときに、書き留めた記録があれば、あなたが自身は何も悪いことをしていないという証拠、きちんと仕事をしているだけでむしろあなたが被害者だという証明になると思います。無理矢理に武器としてつかう必要はありませんが、お守りにはなるのではないでしょうか。

周囲の人に相談する

次に、周囲の人たちに相談します。
相談文の中に「我慢していました」とありましたが、きっとあなたは周囲に気を遣わせまい、心配させまいとして、耐えていたのではないでしょうか。

そんなあなたは、とても優しくて強い人だと思います。ですが、一人で抱え込んでいると周りからの意見を聞く機会がないせいで、「自分が我慢すればいいんだ」という思考に陥ってしまうこともあります。また、業務に支障が出ているとなると、仕事のあなたの評価が下がることにつながる可能性もありますから、ちょっと心配だな、と。

職場の人に相談するときは、憶測や悪口は決して口にせず、事実のみに留めます。
たとえば、「たしかに別れたばかりの頃はショックだったのは事実ですけれど、今はヨリを戻したいとは全く思っていません。一緒に働くうえで、仕事が円滑に進められるように必要最低限のコミュニケーションは取りたい」とか「別れたということは彼なりに私に対して思うところはあるでしょうけど、それでも無視されたり、仕事で関わらないようにされたり、周りにあれこれ吹き込まれるのは働きにくくて困る」とか「もう終わったことだし、わたしはただ社会人として仕事を頑張りたいだけなのに、“死ね”なんて言われるといい気持ちにならないし、職場の雰囲気が悪くなってみんなに気を遣われるのもしんどい」とか。

彼に対して腹が立ったり呆れる気持ちがあったとしても、「最低ですよ! あのクソ男!」などとヒートアップして悪口などは言わず、「付き合ってるときはこうだったのに~」と過去を暴露せず、あくまでも「こういうことをされて、仕事に支障が出ていて困っている」というスタンスを貫きます。

まともな人であれば、彼の普段の態度と、あなたからの相談で合点がいき「あぁ、おかしいのは彼のほうなんだな」「彼の態度は幼稚で周囲に迷惑をかけるものなんだな」と気づき、彼を相手にせず、あなたのフォローをしてくれたり、彼の暴言から守ってくれたりするでしょう。また、相談相手が上司であれば、仕事に支障が出ているとなると立場上介入せざると得なくなりますから、きちんと対応してくれるはずです。このときに、最初にお話しさせていただいた、日ごろの記録が役に立つかもしれません。