「恋愛を楽しむ」とは単に満足するとかではなく、「主体性がある」ということかもしれない /雨あがりの少女

ラブホテルの休憩が25,000円

by Samantha Gades

物価が上がったわりに、給与は大して変わらないので、何もかもが高く感じる。このまえ彼とラブホテルに行ったら、祝日ということもあるだろうが、休憩3時間で25,000円の部屋しかなかった。(高すぎ!無理!出よう!!!)と彼とアイコンタクトを取っていると、別のカップルがやってきて先にチェックインしていた。お金持ちなんだな……と思ったが、よく見ると、20歳くらいの男女で、女の子はかなり後ろに下がって俯いて会計を待っている。後で「あの男の子、25,000円!?高すぎ!と思ったけど、彼女に無理って言い出せなくて仕方なく払ってたのかなあ……」と余計な心配をしつつ、我々は少し辺鄙なホテルまで歩き、休憩6,500円の部屋に入った。

ラブホテルのロビーで、男性が会計しているあいだ、女性がかなり下がって俯いて待っている光景はよく見かける。男性が「ここで待ってて」と言うのか、女性が「会計を見てはいけない」あるいは「会計に居合わせたくない」と考えて下がっているのか、多分どっちのケースもあると思う。どっちにしろ、これからたくさんエッチなことをするぞという入口のところで、ロマンティックな雰囲気を、お金という現実的なもので壊したくないということなのだろう。

それはそれで分かる。でも、現実(お金)を男任せにすることでしか女はロマンティックになれないっていうのも、なんかつまんないよなぁと思う。多分お金持ちというわけでもない彼に毎回ホテル代25,000円を支払わせたらどこかで破綻するだろうから、そういう意味では持続性も低い。それなら「お金持ちと付き合えばいい」「割り勘にすればいい」「女が支払えばいい」……というのもそうだが、普通にふたりで相談して決めることができればいいことではないか。関係性にもよるけれど、その程度のことで別にロマンティックは壊れないのではないか。

というわけで私はホテルで男性と一緒に会計をすることが多い。今回のように高い部屋しかなければ相談してホテルを出るし、いくつか部屋が空いていれば一緒に選ぶのも楽しい。お金は男に出してもらうこともあるし、私が出すこともあるし、割り勘にすることもある。何にせよ相手任せにせず一緒に決めれば、これから始まるセックスもより楽しめると思う。

コンドームはモタモタつけてほしい

ところで私は男性がコンドームをスムーズにつけている姿が嫌いだ。一般的にはスムーズにつける方が良いと言われているのだろうが、なんというか、私とキスしながら手探りしてたり、こっちを見ているようで横目でチラチラベッドサイドを見てたりすると、「もっと私に集中して!わけわかんなくなって!」と思ってしまうのだ。逆に男がモタモタして変な雰囲気になると喜んで凝視してしまう(嫌がられる)。

好きな人には、私とセックスすることで、全ての段取りが台無しになってほしい。とにかくダサくなってほしい。というかセックスってそういうものだと思う。自分の意のままに気持ちよくなるだけなら自慰行為で十分だ。思い通りにならないからこそ、ふたりだけの展開があり、そこにロマンティックがある。

何でも「スマート化」されゆく社会において、恋愛においてもスマートが求められすぎていないかと考えることがある。「ラブホの支払いもコンドーム装着もスマートにできる男が良い!」という声も聞くが、そんなの、ただ全部男に押し付けて見ないようにしてるだけじゃん。

このまえ友人が「彼氏がセックスが下手すぎるから別れた」と言っていたのにビックリして、「あなたは下手じゃないわけ?」と聞いてしまった。ふたりですることなのに、どちらか一方が下手すぎることってある?と私は思うのだが、「ラブホテルの支払いも、コンドーム装着も、というかセックスの全ては、男がするものであって、女は関係ない」と思ってる人はけっこう多いのかもしれない。