パートナーを小バカにしない

 フランスでは一般的に、パートナーの事は人前では堂々と褒めるのが当然のマナーというものがあります。
だから「うちの妻は世界一の妻です」なんてことをフランス人男性は、平気な顔をして言えたりするわけです。

 ところが日本人の私はつい、自分や旦那さんのことをちょっと小バカにして冗談を言ってしまうことがあります。
これをやると、旦那さんは「どうして俺のことを皆の前で笑いものにするんだ!」と本気で怒ることになります。
日本人の私としては、身内を小バカにするのは信頼関係があってのことであって、なんなら愛情表現だということが全く通用しないのです。

 暴露本の話に戻りますと、つまり大統領元恋人のヴァレリーさんがこの本で大統領を小バカどころか、プライベートなことを「フランス大統領って本当はこんな男なのよ!」と暴露することは、非常に屈辱的な行為であるということです。
いくらフランス女優にとられたからって、その仕打ちはなんだか彼女自身が惨めになるんじゃないかな?とすら思うほど。

 そう思ってしまうのはまだまだ生易しい日本人女性的な考えでしょうか?
パリの女はこういう面でも強さを感じてしまうのでした。

Text/中村綾花