恋愛する/しないはあなただけが決めていいこと

さて、相談の本題である恋愛について。
あなた自身はすでに理解されていると思いますが、誰とお付き合いするか、誰とどんな風に親密になるか、恋愛する/しないはあなただけが決めていいことで、誰かに侵害されていいものではありません。
どういう人を好きになるか、誰とお付き合いするかは、本人の好みや相手との相性によるところはもちろんありますが、親の教えやどんな風に育ってきたかというのも少なからず影響するでしょう。
たとえば、子供の頃から食事のマナーについて親に厳しく躾けられたから、食べ方が綺麗な人がいいとか。親が自営業で苦労している姿を長く見てきたから、安定した職業の人がいいとか。付き合っているぶんにはノリも合うし楽しいけれど、きっと結婚となると親は許さないだろうなと想像してみたり、自分自身は奔放な恋愛観を持っているけれど、厳しい親のことだから自分の生活は話せないなと思ったり。
恋愛するときに、親による影響が意識的にしろ無意識的にしろチラつくことは誰しもあるのでしょうが、親から言われた言葉と自分の意志、双方のバランスのいい塩梅を見つけていくのだと思います。

あなたの場合は、母親の「学生のうちから誰かと付き合うなんておかしい」という言葉が恋愛、ひいては人間関係においての大きな基準になっています。
母親の言葉に筋の通った理由があり、あなた自身も心から納得したうえで守っているのなら、それぞれの家庭のルールもしくは本人の価値観のため何も言うことはないのですが、あなたの本心はそうではないようです。
母親の言葉に筋の通った理由があり、あなた自身も心から納得したうえで守っているのなら、それぞれの家庭のルールもしくは本人の価値観のため何も言うことはないのですが、あなたの本心はそうではないようです。
母親への恐怖心で抑えつけられているあなたの気持ち、「誰かと付き合いたい」という考えはひとつもおかしくありませんし、これからも持ち続けていいものだということは覚えておいてほしいと思います。

とはいえ、母親への恐怖心を抱えたまま誰かと付き合うことは難しいのではないでしょうか。
たとえできたとしても、母親との上手な付き合い方(親だからといって必ずしも付き合い続けなくてはいけないわけではないことは大前提ですが、現時点では同居しているため)がわからない状態で、たとえ誰かと付き合ったとしても別のしんどさが生まれてしまうように感じます。
交際している間に「やっぱり母親の意志を裏切って付き合うなんてできない」と、これまでと同じように関係を断ち切ろうとしたり、パートナーと親密な関係になったからこそ「母親と同じように殴られないようにしなくちゃ」と自分を抑えつけてしまったり。
要するに、母親の顔がチラついてしまい、あなたが自分の本心に基づいた行動ができないのではないかな、と。

母親の支配から完全に抜け出さないとまともに付き合うことなんてできないよ、と呪いをかけているわけでは決してありません。
焦って恋愛をするのではなく、自分の行動を肯定できるようになること、一部分でもいいから母親との関係を見つめ直すこと、根本的な解決はできずとも今より少しでも楽になる手段を見つけておくこと、いざというときに自分を守れる術を知っておくこと、これらを恋愛をはじめる前にしておくことをおすすめしたいです。それはこれからのあなたの心が楽になるために、あなたが自分の本心に基づいて行動する楽しさを知るために、きっと必要なことだと思います。

最後に、つらい経験を話してくれてありがとうね。
今後も、何度も母親との関係に悩むことがあるかもしれません。
罪悪感に苛まれたり、自分を責めたり、「どうして」と苦しくなったりするかもしれません。
「母親からの影響を断ち切りたい」という今の気持ちが揺るぎそうになったときは、今回のわたしとのやりとりと思い出してください。
あなたの気持ちは誰にも否定されないものだということ、いつまでも忘れないでくださいね。

Text/ものすごい愛
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