20世紀と21世紀の「東京オリンピック」
―なぜ2020年を舞台にしたのはなぜでしょうか。
「家族」の話って、「世代」の話でもあるんですよね。だから「VR」や「自動運転」などテクノロジーを取り入れることで、世代の対比を描けるんじゃないかという発想からですね。で、そのテクノロジーもそうなんだけど世代の話を描こうとしたときに、「東京オリンピック」もキーになるかなと。
―昭和にも開催されましたし、2020年にも開催されますもんね。
前回の東京オリンピックは、日本にとって20世紀最大の成功体験の一つですよね。だから上の世代は、2020年の東京オリンピックでも成功体験をなぞろうとする。でも、若い世代は同じやり方では成功しないと思っているんじゃないかな。
―では、2020年になったらこの作品はどのような存在になっていてほしいですか。
最終的には希望を描きたいと思っているので、成功体験をなぞって失敗するってことにはなってほしくないです。2020年になって観たときに、「あのときはなんとか希望を見出そうと思って描いていたけど、そうなったね」ってなるといいと思いますけど。
―この作品をどのような方に観てもらいたいですか?
基本的にはココネと同世代の人に観てもらいたいなって思って作っています。さっきも言ったけど、僕も高校生くらいの頃って自分の両親にストーリがあるなんて、あんまり考えていなくて、どちらかというと自分のことでいっぱいいっぱいでしたよね。だけど、父親や母親にも自分と同じ年齢の時があったはずだよなぁということに気づくタイミングがあると思うんですね。
NHKで放送している『ファミリーヒストリー』っていう、自分が生まれてくるまでのストーリーを追体験することで自分のルーツを感じる番組がありますよね。この作品も、そういうキッカケになってくれたらいいなぁとは思います。
それと、子どもがいる親世代の方にも観てもらいたいかな。大人になると、「俺が子どもの頃は……」と自分の体験だけを押し付けてしまいがちだけど、時代も変わってるんだっていうことを忘れちゃいけないなと思うんですよね。出来れば両方の世代に観ていただきたいなって思います。
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神山監督の即興の創作シナリオを幼い頃から読み聞かせられたお子さんは、どのように影響を受けて育つのだろうか。「もうちょっとアクションがある方が喜ぶ」だなんて、アクションシーンが豊富なこの作品と同じものを感じずにはいられない。
ココネが初めて触れる両親のストーリー。そこでは親を知るだけでなく、そこから生まれた“ワタシ”自身を知る旅にもなる。誰かが誰かのために読み聞かせた、その二人にとって一番優しい物語。それは世界にたった一つのもので、他の誰も踏み入れることができない。
それが夢から現実へと橋渡しされた時、眠る前の耳元からスクリーンへと投影された時、子どもから大人へ向かう際に見る景色は今以上にもっと彩られるはずだ。
3月18日(土)全国ロードショー
監督・脚本:神山健治
キャスト:高畑充希、満島真之介、古田新太、釘宮理恵、高木渉、前野朋哉、清水理沙、高橋英樹、江口洋介
音楽:下村陽子「キングダム ハーツ」
主題歌:「デイ・ドリーム・ビリーバー」森川ココネ(ワーナーミュージック・ジャパン)
キャラクター原案:森川聡子『猫の恩返し』
作画監督:佐々木敦子『東のエデン』、黄瀬和哉『攻殻機動隊S.A.C.』
演出:堀元宣、河野利幸
ハーツデザイン:コヤマシゲト『ベイマックス』
制作:シグナル・エムディ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2017 ひるね姫製作委員会
Text/たけうちんぐ
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