信用する価値があるかを見極める

もしわたしがあなたの立場だったら、浮気をしている事実どうこうより、嘘や隠し事をしているとわかりきっている彼を信用できないでしょう。
たとえ恋人同士や夫婦でも、わたしは何から何まで包み隠さず相手にオープンにする必要はないと思っています。
もちろん、黙っていることでパートナーに不利益が生じる場合やお互いの生活によくない影響を及ぼす可能性のある場合(事故を起こして相手にケガを負わせてしまった、過去に自己破産をしているなど)は言うべきだとは思いますが、わざわざ言う必要のないことはあるはずです。

わたしはパートナーの全てを把握したいとは思っていないので、それこそ女性とごはんに行こうが、一緒に過ごしていないときに何をしてようが、正直どうでもいいのです。
ただ、それは相手の行動全てを容認しているというわけではなく、わたしが不愉快になったり悲しんだりする可能性を孕んでいるのであれば、「わたしがわからないように賢く立ち回れよ」という考えがあるから。
隠し事や嘘の内容がなんであれ、「嫌われたくない」「よく思われたい」という素振りすらない人は、信用する価値はないと思っています。
「どうせおれのことが好きなんだから別れる気なんてないでしょ」「これくらい堂々としてても気づかないくらい鈍感だもんね」とバカにされているようで腹も立ちますからね。

何より、自分の友達にパートナーの愚痴を話している点を見過ごせません。
わたしは、恋人や配偶者などの愚痴や悪口を他人に話す行為はクソダサ愚行だと思っています。
具体的な相談となれば別ですが、ただダラダラ垂れ流されるだけのおもしろくもなんともない愚痴は聞かされる側も不快です。
もし、何らかの不満があるのであれば直接言ってもらわなければ根本的な解決にはなりませんし、何より「あなたのやっていることはわたしだけじゃなくて、そんなわたしを選んだあなた自身の価値を下げる行為ですよ」とガッカリしてしまうでしょう。
だから、外でわたしの愚痴を話しているのを知った時点で「もうあなたのことはどうでもいいです」と見切りをつけます。

とまあ、ここまではあくまでもわたしがあなたの立場だったらどう思うかについてお話しをさせていただきました。
でも、あなたは今のところ彼と別れるつもりはないようですし、相談文には彼と一度話し合って解決をしたと書かれています。
ひとつ気になったのですが、その「解決した」の時系列がいつになるかです。
彼があなたからの信用を失いかねない行動をするたびに話し合ってお互い納得のうえ解決したはずなのに、改善されることなく何度も繰り返されているのか、それとも過去に話し合いをし解決してから彼のそういった行為は全くなくなり、信頼を取り戻すための努力をしているにもかかわらずあなたの不安は拭えていないのか。
どちらによって、あなたがどういった選択をすべきかの答えは変わるはずです。

もし前者だとしたら、それこそ見切りをつけるタイミングかもしれません。
彼の行動に一切の改善が見られないのであれば、それは解決したとは言えないですし、彼も「次からバレないようにやればいいや」という認識でいるなら、それこそ信用する価値がある相手とは思えません。

後者の場合、それでも彼と付き合っていく決心をしたのであれば、少なからずあなた自身も変わる努力を必要とされるのかもしれませんね。
たしかに、過去に彼のした行為はあなたにとって許せるものではなく、未だにそれが尾を引いて不安につながっているのでしょう。
過去の行いはなかったことにできませんし、された側は忘れようと思って容易に忘れられるものでもありませんから。
「これまで頑張ってみたけれどやっぱり無理だった」と途中で気づいて見切りをつけるのだって、選択肢のひとつです。

ただ、わたしはあなたが“信用する”という言葉に囚われ過ぎているように感じたのですが、いかがでしょうか?
相手を信用するうえであなたの譲れない部分があるように、「こういう部分を持っている人は信用できる!」という琴線は人それぞれ異なります。
極端な例になりますが、異性の友達はゼロ、友達とは一切遊ばない、仕事の飲み会も毎回不参加、一緒に暮らしていて仕事以外の行動は常に一緒、寝室は同じ、仕事中でも常に連絡を取り合っているといった、浮気や隠し事をする余白が全くない生活をしているのならたしかに疑う余地はないかもしれません。でも、少しでもいつもと違う行動を取ったら……途端に不安や疑いの目が生まれてしまうのではないでしょうか。
逆に、別々に暮らしていて休みの日もそれぞれ一人きりで過ごすことも少なくない、LINEも電話も用事があるときだけ、でも相手が自分のことを一番に大事に思ってくれている実感があるから、女性と飲みに行こうが全く気にならないというのも、ひとつの信用のかたちのはず。

もしも、あなたが彼に対して物理的に浮気する余白のない行動を求めているのだとしたら、それは難しいと思います。
そもそも相手の行動はコントロールできるものではありません。
たしかに彼の行動は目に余るものがあるとはわたしも感じましたし、彼本人が変わろうとする努力は必要だと思いますがが、常に疑いの目を向けられ、求められ続けてばかりでは「信用してもらえるように頑張ろう」という気持ちの糸は切れてしまうのではないでしょうか。

「話し合って解決した」と言い切るのであれば、それを掘り返していつまでも責め続けるのはルール違反。
もう終わったこととして捉え、新たに関係性を築き上げる努力をしたほうがいいと思います。