お互いにとっての居心地のいい環境をつくる
なぜそういう風に捉えられているのかというと、夫が「おれは病弱のプロだ」と自負しており、体調にきちんと注意を払って、逐一対策をしている姿を見ているから。
夫は幼少期から病弱だったことから、「おれは体力がないし体も弱いから、バリバリ働いて徹夜だの休日の接待だので生活リズムが乱れやすい働き方は無理だな」と自覚していたらしく、きっちり定時に上がれて休みも取りやすい職種に就きました。寝不足で体調を崩さないように早寝早起きをするなど規則正しい生活を日頃から心掛けていますし、日常的に運動をしたり、食事にも気を配っています。「あっなんかやばいかも……?」と予兆を感じたらさらに整え、決して無理をせず意識的に休息を取るようにしています。
もし、自分の体調を鑑みず、生活リズムはぐちゃぐちゃ、毎日飲み歩いて午前様、いくら気を遣っても無理ばかりするという生活を改善する姿勢がなければ、「いや! だからしょっちゅう体調崩すんだろ! いい加減学べよ!」と腹が立っていたかもしれません。
でも、できる限りの努力をしている夫を近くで見ているので、「これだけのことをやって体調を崩すんだから、もう仕方ないよね~そういう体質だもんね~」となんの疑問もなく受け入れられるわけです。
なにより、夫はわたしに対して過剰な対応を求めていないため、一緒に暮らしていて苦にならないのです。
夫は、出会ってから今に至るまで、一度たりともわたしの行動を制限したり、過剰な寄り添いを求めたりしたことはありません。
これまでの人生で何度も、自分の体調不良が原因で結果的に周りの人に我慢を強いるかたちになったことを心苦しく思っていた、と言っています。だから、たとえば一緒に訪れた旅行先で体調を崩しても、「たぶん寝ていればよくなると思うから、君は一人で観光をしてきて」と言うのです。その際、わたしは「じゃあそうする、やばそうだったらすぐ戻ってくるから連絡して」と素直に夫の意見を聞いて行動します。
夫からしてみたら「自分のせいで我慢させるのは申し訳ない。だから一人で楽しんでくれたほうがずっといい。寝ていれば良くなるんだし、常に付き添って看病されることはむしろ気を遣ってしまう」というのが本心で、わたしも「わたしが気を遣いすぎることは夫も望んでいない。むしろ楽しんでくれたほうがうれしいと思っている。ほんとうに体調がやばくなったら変な気を回さず素直に言ってくれるだろう」と信頼しているので、とても楽チンなんです。
もしも、夫が「おれはつらいんだ! 一人だけ楽しむなんてずるい! だから君も同じ目に遭え!」と強要してきたり、自分の不調をひた隠しにしてわたしに気を遣わせまいと無理をしたりするような人だったら、きっと上手くいっていなかっただろうな、と思います。
事情をよく知らない人から、「ずいぶん冷たいね」「鬼嫁じゃん」「もっと優しくしてやんなよ」などと言われた経験は多々あります。でもこのやりとりは、たとえば寒いときにお互いが居心地のいい環境をつくるのと同じだと考えています。
「ちょっと寒いな……」「そうかな? クーラー切ろうか?」「いや、おれが上着着るわ。それでも寒かったらクーラー切ってもいい?」「オッケー、そしたら教えて。暑かったらわたしは一枚脱ぐから」というように、人それぞれ体質が違うのだから各々対策してそれでもどうにもならないときは相手に頼りましょう、ってだけの話だと思っています。
というか、日常茶飯事の出来事をいちいち大袈裟に捉えてたらわたしも夫も疲れちゃいますしね。
はっきり言って慣れです、慣れ。
「こんなもんでしょう」と楽観視して生活をしています。
失礼、少し前置きが長くなってしまいました。
あなたに何をお伝えしたいのかというと、彼が自分の体調をどのように理解をしてどう向き合っているのか、そしてあなたにどんなことを求めているのかに注目してはいかがでしょうか。
たとえば、彼があなたの心配の声に耳を傾けようとする姿勢はあるのか、自分の体調が悪いことを隠して無理をした結果、体調が悪化する機会が多くないか。
他にも、「おれは体が弱いんだから、家事や仕事は君がやってくれて当たり前」「おれが落ち込んでるのに楽しそうにするな、一緒に悩むのがパートナーだろう」といった、押しつけとも取れる過剰な要望を抱いていないかなど。
こういった部分をチェックしてみて、あなた自身が彼と一緒に生活を送るうえで精神面でのプレッシャーを感じる可能性がないか確認することをおすすめします。