強くて賢い「自立型お姫様」たちの悩み/はあちゅうの女の本音

強くて賢いお姫様たちの悩み

恋愛 はあちゅう 毒吐き 伊藤春香 結婚 彼氏 VanessaO

 小さい頃にはまった本は
人格形成に影響を与えると言われますが
私のお気に入りの本は「アリーテ姫の冒険」でした。

 読んだことのない人のために、
簡単にご説明すると、
アリーテ姫は、
強くて賢いことが原因で王子様たちから結婚を断られ、
悪い魔法使いの元にお嫁にいくことになります。

 その魔法使いは、アリーテ姫に3つの難題をふりかけ、
それらを解決出来なければ姫を殺すと宣言します。

 アリーテ姫は、持ち前の賢さと勇気で
次々と難題を解決し、逆に魔法使いを退治して、
最後は困った人を助けるための旅に出ます…これがあらすじ。

(ちなみにこの本、後から知ったのですが、
「子供が理解しやすいフェミニズムの本」らしいです。)

 退屈が嫌いで本が大好きという共通点もあるこのお姫様に、
自分を大いに重ねた私の頭には
「強くて賢い女子は男の人に嫌われる」
「でも強くて賢ければ、男の人に頼らなくても生きていける」

という2つのメッセージが刷り込まれました。
そして「王子様に好かれない場合に備えて、後者のパターンでも
対応可能に育とう」と思いました。

 助けがないと幸せになれない「依存型お姫様」ではなく、
自分の力で運命を切り開く「自立型お姫様」になるんだ、私は!

…そこから二十年が経ち、
ファンタジーの世界を卒業した私は
リアルワールドという
過酷な国に足を踏み入れて、悟りました。
「男の人って、やっぱり、強い女子は好きじゃないんだ」と。

 つい先日も、前職同期の男友達に
「なかなか彼氏が出来ない」と相談したところ、
「はあちゅうは、しっかり者すぎる」という指摘を受けました。

 本音は、(しっかり者で何が悪いんだ)と思ってますが、
彼の「弱弱しさを演出しろ!」というアドバイスに従って、
大好きな美容師さんの元にかけこみ、
「私を弱く見せてください!」と泣きついてみましたが…

 そういえば、数年前のクリスマスに、
とある男の人といい感じになり、
付き合うか付き合わないかという話をしていた時、
こう言われたんだった。

私「ねえねえ、私と付き合えない理由はなんで?」

男「うーん…俺の尊敬する偉い人と、食事に行ったり、
有名人の名前が普通に会話に出てきたりして、
ちょっと嫉妬してる俺がいて、
好きは好きなんだけど
素直に『好き』とか『守ろう』って思えないんだよね…
『すごい』って思っちゃう…」

 その時、真剣というよりは
気軽な雰囲気だったからこそ、
他にも理由はあれど、
これが本音なんじゃないか…と印象に残りました。

 先日、結婚を決めた
とある年上有名人女子の言葉がよみがえります。

「はあちゅう、私たちみたいな女子が結婚しようと思ったら、
相手は、『全く自分とかぶらない領域で活躍している人』だよ。
同じ業界だと、気にしていないようでも、
どこかでライバル視されちゃうみたい。
あるいは完全なるヒモを見つけるか」

 恋愛界の掟は、
ファンタジーもリアルワールドも
一緒なんだなという事実を突きつけられました。

 でも、私は小さい頃から、アリーテ姫は、
自分より強くて賢い王子様をみつけて
結婚したと信じています。

 早く強い王子様に見つけられたい。

Text/伊藤春香(はあちゅう)

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