「さみしさ」は次のステップに

黒水綾乃さんが撮影した一人旅の写真 撮影:黒水綾乃さん

――では、「さみしい」という感情はどんなときに沸き起こるものだと思いますか?

 私は人と一緒にいるからこそ、「さみしい」という感情が沸き上がるんだと思います。
上京したての20歳のころ、私は東京の三軒茶屋に住んでいて大失恋をしました。三茶のTSUTAYAにいるカップルがうらやましくて、余計に切なくなってたんですよね。

 もともとひとりの時間も好きで、「さみしい」という強烈な感情も持っていなかったのに、それまでずっと一緒にいた彼と会えなくなることが「私はこんな大東京でひとりなんだ…」と意識させ、猛烈にさみしくなったんだと思います。

 でも、どなたの格言だったか忘れてしまいましたが、「誰かと一緒にいる寂しさよりひとりの寂しさのほうが幸せ」という言葉に出会えて心が楽になりました。

――あったものがない、傍にいた人がいないという「喪失感」「欠乏感」が「さみしさ」を引き起こすと、小池龍之介さんもおっしゃっていました。

 そうですね。さきほども答えたように、私はいつも人と別れた(分かれた)後にさみしくなります。旦那と一緒に旅をして、私だけそのまま続けるというときは、別れ際に多少さみしさを感じますから。まあ旦那とはすぐにまた会えるので、次の日にはその感情はなくなりますけどね(笑)。

 現地の人との別れ、旦那と別れたさみしさがこみ上げてきたら、次の目的地のことを考えて自分を奮い立たせます。どんな景色が待ち受けているんだろう、どんな文化に触れられるんだろうって。地図ばかり眺めて妄想するんですけど、かえって眠れないほどの興奮状態になりますよ(笑)。

 ハタチの頃のような猛烈な感情はもう戻ってこないですし、最近はさみしいという感情もかなり薄くなったので、ひとり焼き肉、ひとり居酒屋、ひとりご飯はもちろんのこと、ひとりディズニーも(アミューズメントパーク全体)ひとりワイキキも、ひとりヘタクソボーリング大会もなんだってできるようなりましたよ。

――後編では、結婚後もひとり旅を続ける意味について伺います。

Text/SOLO編集部

※2017年1月16日に「SOLO」で掲載しました