閉じこもってた3年…認められると人ってこんなに変われるんだ!/『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』作者・永田カビさん

 大学中退後、所属コミュニティがなくなった不安から鬱による自傷行為を繰り返し、摂食障害も患った永田カビさん。
満たされない寂しさから、人肌を求めてレズビアン風俗に足を運ぶことになるまでの心情を描いた自叙伝的漫画『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』がネットで話題となり書籍化。
誰の心にもある寂しさや、承認欲求との向き合い方が共感を呼び、あれよあれよと重版がかかる大ヒットとなりました。

 自己否定のループにあった永田さんが、漫画での成功をきっかけに変わったこととは? 寂しさの先にあった、今のお気持ちを伺いました。

「若い芽を摘みたい…」ライバルに負けたくない覚悟

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――本作は、寂しいという感情に支配されつつも、ご自身のことを俯瞰して冷静に描かれていますね。

 どういう作品ならお金を払ってもらえるだろうと考えた結果、人に言えないような恥ずかしいことを描くしかないと思ったんです。自分が抱えていた感情を「うぉ~早く伝えたい!」「早く読んでほしい!」という衝動で、一気に描き上げました。
多くの人に読んでいただき、お仕事に繋がったので、見つけてもらえてすごくありがたかったです。

――心が弱っているときに自己分析をするのって、とてもしんどい作業だと思うのですが…。

 今までは別名義でフィクションを描いていたんですが、上手くいかない苦しさに苛まれていて。バイトも続かないし、どうやって生きていこう? と思ったら、やっぱり頑張れるのは漫画しかないなってことに気づいて。追い詰められて描いていましたね。元々、他の人の漫画もあまり読まなかったんです。

――自分の作品と比べてしまうのでしょうか。

 そうですね。若い漫画家志望の人が周りにいたら、できれば私が若い芽を摘みたいくらいなんです(笑)。アドバイスとか求められても、あんまりしたくないですし。もし今後、母校に登壇とかする機会があっても、培ったノウハウを明かしたくないので、当たり障りのない話しかできないと思います(笑)。

――漫画では絶対に負けたくない、という絶大な意思を感じました。

 漫画がダメになったら、何もやっていけないので。背水の陣なんです。漫画が上手い人を見ると、「ううううう〜 やめてえええ〜」ってなるんです(笑)。
今はネットで話題になると、すぐ書籍化する流れができてるじゃないですか。私の仕事が増えるという希望より、「私を脅かす新しいライバルがどんどん出てくるぞ」という、不安な気持ちのほうが強いですね。

ネットの否定的な意見に安心?

――永田さんも、今作が話題になったきっかけはpixiv(作品の投稿・閲覧が楽しめる「イラストコミュニケーションサービス」)でしたね。ネットは、拡散されるけど炎上のリスクもあります。ご自身を題材にしているだけに、恐怖はなかったですか?

 今まで持ち込みしたり賞に応募してきたけれど、ずっと上手くいかなくてもどかしい思いをしていたんです。だったら直接読者に届く、ネットにアップするしかないと思って。載せてみたらどんどん拡がりました。

――自己否定で塞ぎ込んでいたところに、他者からのポジティブな評価がいきなり押し寄せてきたと思うのですが…。

 最初は良い意見ばかりで、意外だったんです。でも一気に拡がったら、段々と否定的な意見も出てくるようになって、やっと「漫画が幅広く届いたんだ!」って思えましたね。好意的な意見だけだと、一部の人にしか見られていないんじゃないか心配だったので、一時期は悪い意見をわざわざ検索していました。

――漫画のことになると、ポジティブになれるんですね。

 認められる速度が急すぎて(笑)、全部は消化しきれていないと思うんですけどね。
ただ、今はさすがに疲れたので、あまり検索しないようにしています。