世界中で聞かれる
「ひとり旅、さみしくない?」の意図

黒水綾乃さんが撮影した一人旅の写真 撮影:黒水綾乃さん

――とはいえ、「ひとり旅でさみしくない?」と聞かれることもあるんですよね。

 そうですね。実は、世界中どこへ行っても聞かれるんですよ。おそらく、「ひとり=さみしい」、「ふたり=ハッピー」が世界のだいたいの共通認識になっているんでしょうね。

 とはいえ、知り合った相手の国籍や環境によって、「さみしくないの?」の質問の意図も様々です。
発展途上国なら、家族の有無やそのつながり、国への帰属意識はないの?という意味が強い。一方、欧米諸国、特に旅先進国のオランダ人やドイツ人は、単に自立している人かどうかの確認なので「you are independent, very brave! (君は独立した女性だ、勇敢だね)」と、お褒めの言葉をかけてくれます。「ひとり」に対して、色んな疑問や考えがめぐるってことの表れでしょうね。

――ひとり=さみしい、っていう訳でもないですしね。

「ひとり=ハッピー」でもある私は現地の方と簡単に知り合えることが、ひとり旅の醍醐味だと思ってます。だって、現地の文化を習い、時にはお茶に誘ってもらったり、ごはんをご馳走になったり、自宅に泊めさせてもらったりと、人の優しさに触れられるんですよ。ただの一介の旅人の私にここまでしてくれる…そう思ったら、大げさに聞こえるかもしれませんが、人類愛って素晴しいという境地に達しちゃうんですよね。
だから、こういう素晴しい出会いに恵まれると、別れ際に号泣してしまうんです。40歳目前のいい大人が顔をぐしゃぐしゃにしてお別れすることって、日常生活でそうあることじゃないでしょ。

 現地の方に「ひとり旅でさみしくない?」と聞かれたら、必ずこう答えますよ。「ひとりじゃなかったら、あなたたちに会えなかったかもしれない。ひとりだったからこうして出会えて、あなたたちと今過ごせている」と。