ホットケーキに託されたマスターからのメッセージ

念願かなって初来店。そこには…

数日前から注意喚起があり、心をざわつかせた大規模な台風。緊張感のある連休を過ごされた方も多いと思いますが、皆さまはお怪我などされませんでしたか?
被害にあわれた方々の生活が一刻も早く元通りになることを願っています。

秋というには一気に肌寒くなってしまったこの頃ですが、暑い日々に比べるとどこまでも散策したくなる良い季節ですね。私の2019年秋は関西地方へ何度も足を運ぶことになりそうです。

さて、前回はそこだけを目指して出掛ける価値のある素敵なお店について綴りましたが、今回も京都で出会ったお店「雲仙」でのエピソードをお話します。

雲仙

訪れたのは今回が初めてでしたが、存在を知ったのはもう何年も前のことでした。入店したくてお店の前まで行ってみるも、その扉は閉じられ、灯りが点いていない様子をしばし眺めては道を引き返した記憶がいくつか。今回はとある書籍の取材という名目であらかじめ約束させて頂いたので、店内に入れることが確約。高鳴る胸を落ち着かせながら向かったのでした。

三代目マスターの人柄をあらわすメッセージ

雲仙

「いらっしゃい」と迎えて下さったのは、三代目マスターの高木さん。お話するのは初めてでしたが、以前からSNSで繋がっていたことと、高木さんも会社員をしながら週末はお店を開けるという二足のわらじであることに勝手な親近感を抱いていました。予想していたよりも奥に広い店内は、程良い明るさで照らされ、その居心地の良さにいらっしゃる皆さんの口角はきゅっと上がり、それぞれが心から寛いでいる様子が伺えました。

美味しそうなメニューが色々とありますが、特に人気なのは1枚ずつ丁寧に焼き上げるホットケーキ。完成まで数十分かかりますが、それを待っている時間さえも純喫茶では愛おしいのです。運ばれてきたホットケーキの表面には「THANK YOU FOR YOUR KINDNESS」の文字。入口にあるレジスターの正面に刻まれている、高木さんのお人柄を表しているようなメッセージです。

雲仙

高木さんに『純喫茶レシピ』発売時に作成したプリンアラモードの栞をお渡ししたところ、「俺も作る!」と興味を抱かれたご様子で、東京に帰って2週間ほど経った頃に頂いたメールには、本に挟まれた可愛らしいホットケーキの栞の写真が!そのフットワークの軽さと、やって来るお客さまたちを少しでも喜ばせようとされている心意気に感動したのでした。

雲仙 写真提供 雲仙 高木さん

現在、営業は週末のみとなりますので、行かれる際には確認してからお出掛け下さい。余談ですが、店内で流れている音楽から感じられる高木さんのセンスもとても好きです(金延幸子、高田渡、はっぴぃえんどなど)。読みかけの本を片手に過ごせる穏やかな時間を約束します。

雲仙

まだまだある雲仙さんの魅力については、今後発売となる書籍にてもっと詳しく語ります。その前に、ぜひホットケーキやスパイスの効いた美味しいカレーを食べにお出掛け下さいね。

Text/難波里奈

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