インスピレーションの源泉、美しき「メンヘラ」たち

「メンヘラ」という語は多くの場合ネガティブな文脈で使われ、そのラベルを貼られた人間は避けるべき対象としてまわりに認識されます。しかし彼ら・彼女らの感情の揺れ幅からくるパワーは、恋愛関係や仕事においてピタッとはまると、驚くべき吸引力でインスピレーションの源泉となることが予想されます。妻のゼルダが夫のスコット・フィッツジェラルドにとって永遠のミューズであり続けた理由は、おそらく彼女が「メンヘラ」だったからに他なりません。

そんなのは芸術家に限った話で、実際はただただ迷惑なだけである……ということになるのかもしれませんが、ものは考えようです。まわりの「メンヘラ」に疲れてしまっている方も、自身が「メンヘラ」で悩んでいる方も、その性質にとことん付き合うのであれば、どうか美しい昇華を。付き合わないと決めたのであれば、一切同調しないことです、この私のように。

しかし、こんなことを書いていると「この人自体が実はメンヘラなのでは?」という疑いをかけられてしまいそうで怖いのですが、断じていいます、私はキツネの妖怪ではありません。ハクビシンです。

Text/チェコ好き

※2015年10月9日に「SOLO」で掲載しました