料理できる人は「女らしい」?素晴らしい技能を性別と結び付けなくていいのに/あたそ

お菓子づくりが流行っているらしいが

料理をSNSにアップする Borzoo Moazami

自粛生活も1カ月以上が経過している。本来ならばこのGWも、インドネシアのバリ島で愉快に過ごし、夜しか電気の通らない小さな村で捕鯨の様子を見る予定だったのに、なんでもない日のように過ごしてしまった。しかし、それも今の世の中では仕方がない。あれだけあった積ん読を消費できただけよしとしようか。

部屋の隅々まで掃除したり、手の込んだ料理を作ろうと計画もしていたのだが、断念。好きではない掃除や料理に時間を割くくらいなら、その辺りは適当に手を抜いて、読書や映画鑑賞に費やしたい。ということで、仕事以外はあまり変わらない時間の使い方をしているのだが、毎日同じことの繰り返しなのにストレスも感じず、飽きもせず、うまくコントロールして過ごしているので、我ながら感心している部分もある。まだ当分自粛生活は続きそうだが、なんとかうまくやれそうな気がする。

巷では、ケーキをはじめとするお菓子作りが流行っているらしい。スーパーの薄力粉やバニラエッセンス、砂糖などが品薄になっているとSNSで見かけた。お菓子作りは時間がかかるし、こだわりが強ければ強いほど熱も入る。美味しいし写真映えもいいんだから、今の生活にピッタリだ。

へー、いいじゃん。楽しそうにやってて。私の家にはオーブンもないし甘い物が苦手なので、ぼんやりとタイムラインに流れる写真を眺めていたのだが、中にはそうでもない人もいるようだ。美味しそうなケーキやお菓子、手の込んだ夕食、色合いに気を配った昼食などと自分の生活を比較して、傷付いてしまう人もいるらしい。

えー、まじか。そんなの考えすぎじゃないの? と思いつつも、そういえば先日「食器洗いが本当に苦痛で仕方がない」とTwitterで発言したところ、「でも、毎日自炊はするんですね……私はまったく自炊ができないので、女らしさの足りない自分に嫌気がさします」とリプライをいただいたのを思い出す。

私の自炊って、茹でたブロッコリーとトマトを適当な葉っぱの上に載せるとか、冷凍しておいた野菜を適当にいれたキムチ鍋とか、無印良品のグリーンカレーにてんこもりの茄子と鶏肉を入れるとか、そんなんばっかりですが。それに個人的には、コンビニやスーパーに買い出しに行ったりUbereatsで注文する方が億劫だし、面倒臭いんですよね。

「女らしさ」は考え続けたいテーマのひとつである。自分で問題にすることも、インタビューなどで質問される機会も多い。なんなんでしょう? 女らしさって。未だにはっきりとした答えは出ないのだが、自分が料理をしないからといって、人と比較して悲しくなったり辛くなる必要は絶対にないということは、確かであるように思う。

料理ができる、お菓子が作れることは「女らしい」んでしょうか。できないよりはできる方がいい。料理をするからには美味しい方がいい。でも、料理ができる、お菓子を作れるという素晴らしい技能や特技を、性別と結びつける必要はない。ただ、食事は毎日するものなのだから、性別に関係なくできた方が何かと便利ではあるだけのこと。

女の人がサトウのごはんの上に焼いたウインナーを乗せただけの食事をしても、男の人が凝ったマカロンやミルフィーユを作ったっていい。自分がいいのなら、毎日コンビニ弁当でもいい。栄養面に配慮しつつストレスにならない程度にやればいいし、楽しさを見いだせるのであればどこまでも熱中すればいい。