安心感がほしい。でも恋愛関係にはなれない
昔、本当に仲の良かった男友達に恋人ができて、わんわん泣いてしまったことがある。お酒が入っていたということもあって、ひとつの感情が大きく膨れ上がると、より抑えることができなくなる。
めでたい気持ちよりも「ああ、もう一緒に飲んだりできないんだろうな」「酔っぱらってめちゃくちゃどうでもいい話を電話でできる人がいなくなってしまうんだろうな」と思うと、どうしても悲しくなってしまって、みっともないことに涙を流してしまったのだった。
しかし、さすが私の友人、というかなんというか。「だって、お前、別に俺のこと好きでもなんでもねえじゃん」という一言を言われ、冷静になって考えてみると本当に好きではなくて、涙も止まる。
うん、そうなんだよね。好きじゃない。これ以上親しい関係になる気なんてさらさらない。でも、少しだけ寂しい。
女友達とは違って、男友達はただ恋人という新しい存在ができるだけで、疎遠になってしまう。たとえ、お互いに今後一生恋愛感情を抱くことがなくても。
結局、恋愛・友情関係なしに、人として好かれているという安心感が欲しいだけなんだろう。本当は誰でもいいのかもしれない。自分のことを認めてくれる人をそばに置いて、肯定してくれるのであれば。けれど、それが恋愛関係に発展しないのは、私に女でいる自信がないとか、恋愛感情を抱かれるのが嫌だとか、そんなところだろう。相手の気持ちはさておき。
結局私は相手との関係性に甘えていたいだけなんだとすら思う。
こういう引っかかりを解消できない限り私に恋愛はできないんだろうし、友達に恋人ができる度に嫉妬をするんだろうと思う。我ながら面倒臭い性格をしているのは知っているけれど、どうしようもできないから、さらにややこしい。
もっと何か、はっきりとした感覚が私のなかにあればいいのに。
Text/あたそ
次回は <なんで私を結婚式に呼ぶの?もう接点がない友人を祝福できない私の罪悪感>です。
それほど仲良かったわけでもない、親しくない友達から届く結婚式の招待状。断るのも体力が要るし、ご祝儀はともかく、心にもない言葉でお祝いすることに耐えられない。大人になりきれない私が悪いの?
あたそさん初の書籍が発売!
KADOKAWAより、7/7(土)より発売中です!
- 1
- 2