SMなのに健全な雰囲気で…

「すごい世の中になったもんだな」などと妙に感慨深い気持ちで入場料を払ってエントランスを抜け、さっそく各ブースを物色。鞭とか縄とか首輪とか、そういったオーソドックスなSMグッズはもちろんのこと、ユニークな独自のグッズも多くある。かつて様々なアイディア商品が売られていた『王様のアイディア』という店があったのですが、なんというかそのノリ。

ようするにSMグッズに特化しているのに、どこか健全な雰囲気なのです。もちろんSMグッズであるので、性的な雰囲気がまったくないわけではないし、鞭は鞭だし縄は縄であり、そして緊縛体験などもその場でできるけれども、それでもどこか健やかな雰囲気があるのは、おそらくは出展者たちがクリエーターや職人であるということもあるのではないだろうか。

というのもSMって一歩間違えたら怪我をする可能性もあるわけで、独自のグッズを開発するには、相応の気遣いや試作が必要だと思うし、さらにはSMにはある種の耽美性のようなものもあり、例えば首輪であれば100均で売っている犬用のもので代用できないこともないけれど、そうではないところに意味がある。まぁ逆というと100均一の犬用首輪で代用することにも意味はあるんですが、とにかく、わたしは「SMは秘めたるものである」という偏見を持っているのだなということを知ると同時に、とにかくもう一度いう。すごい世の中になったものだ。

Text/大泉りか