文章を書き続ける理由
少し前、仲のいい友だちと飲んでいるときに、どうしても辛くて悲しくてどうしようもないとき、自分の気持ちをどのように昇華しているのか? という疑問を投げかけてみたことがある。これが、私のしたかった話でちゃんと周囲と向き合わないとなと思った結果の話題のひとつなのだろう。
その人はミュージシャンだったからどんなに辛いことがあっても「曲にしてやる」「曲にできるネタができてラッキー」と思ってギターを弾くし、大声で歌ったり、深夜に好きな音楽を聴きながら散歩したり、酒を飲んで好きなMVを見たり、自慰行為をしてさっさと寝ると教えてくれた。私からすれば、人望もあって誰からも愛されているような人で、そんな奴でも誰にも言えない気持ちを抱えることがあって、日常のなかで孤独を覚えるのは私だけじゃないのかと少し驚いたのを思い出す。
文章を書くことは、面倒臭いし大変だしお金にならないし、全然意味がないなと割と本当に思う。でも、自分を自分で支えていける方法だから続けているんだと思う。誰にも言えないような深くて暗い悲しみや孤独を抱えているのは私だけではなくて、皆それぞれに自分で自分を救うための方法があって、立ち直ってなんでもないふりができるようになるのだ。
人はひとりでは生きていけない。でも、自分ひとりの足で立っていられるよう、自分のネガティブな感情に押しつぶされないよう、感情を守りながらなんとか生きていきたい。私にとって、その方法が文章を書くことで、文句を言いながらも、日々助けられ続けている。
Text/あたそ
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