飛行機に乗り遅れたことはありますか? わたしは三度ほどあります。一度目は二十代中盤、オランダをひとりで旅行したときのこと。見事に寝坊して戻りの早朝フライトに乗り遅れたのです。「やっちまった」と思いながら、すでに出発時刻を過ぎたエアチケットをチェックインカウンターのお姉さんに見せてソーリー! と謝ったものの、ものすごいお怒りで、まくしたてている。
しかし、英語がロクにできないわたしは、何を言われているのかさっぱりわからない。それをいいことに表情だけ神妙にして聞き流していたら、怒り狂いながらも、次のフライトのチケットを再発行してくれて、事なきを得たのでした。怒ってはいたけど、めっちゃ対応優しい。そして言葉がわからないと、怒られてもへこまないという発見をしたわたしは、以後誰かに叱られるときは「この人がしゃべっているのは英語!」と思い込むことで怒られてもへこまない技術を身に着けました。ろくでもない。
二度目は三十代。女友達ふたりとマレーシアに行ったときのことで、フライト時刻を勘違いしていた上に渋滞にハマってしまったのです。それでも、なんとか出発時刻の前には空港に到着できたものの、搭乗時刻をオーバーしているという。まだ飛んでいないのなら、なんとか乗せてくれないかと頼みこんだけれど、絶対にダメだしLCCなので振替もきかないという。どうにもこうにもチケット買い直すしかない状況で、しかも当日のフライトはもう満席だという。これはもう仕方がないと諦めて、延泊を決めて街中へとリターン。
もう開き直って遊ぶしか! と夜の街にくり出し、クラブで飲んでいたところ、現地の男性が日本語でナンパをしてきたので「アイアムアコリアン、アニョハセヨー!」などと日本人じゃないふりをしてかわしていたら、そいつが「彼は韓国語がしゃべれるよ」と韓国人の男性を連れて戻ってきたので、あっという間に嘘がバレて気まずい思いをしました。これまたひどい話です。
三度目の乗り遅れは納得がいかない
そして三度目は四十代、今年の夏。フィリピン・マニラの空港で戻りのフライトに乗り損ねたのです。が、これについてはちょっとわたしは納得がいっておりません。
帰国日当日、空港に二時間前に到着したものの、チェックインカウンターには長蛇の列。それでもまぁ、さすがに二時間あれば問題ないでしょ……と並んだものの、フィリピンならではトロさでだんだんと時間が差し迫り、気づけばもうフライトの30分前。これから出国審査もあるし大丈夫なのこれ!? と心配していたものの、フライトの差し迫った乗客は優先的に手続きしてくれるというアナウンスが入り、なんとかカウンターの前までたどり着いた。そこで、フライト時間が迫っている大量の乗客を処理しないといけないためにものすっごく殺気立っているグランドスタッフの女性にパスポートと予約番号を伝えてチェックイン手続きをしてもらったところ、わたしと息子のチケットの代金が払われていないため、無効になっているという。
そんなわけはないと代理店から届いた予約完了メールなどを見せたものの、「払われてないから無理!」とわたしと息子のチケットは破られて「次の人がいるからさっさとそこをどけ」と追い払われてしまった。一方で、同じフライトながら別ルートでチケットを購入した夫は無事に発券してもらえ、「早く搭乗口にまわれ」と急かされている。「先に日本に帰ってて。なんとか帰る手段を見つけて帰国するから」と夫とはそこで別れ、「なんでパパとここで別れるの?」という息子をなだめつつ、航空会社のオフィスに行ったものの、そこも長蛇の列。入口にいた警備員に「恐らく今日中にカウンターには辿り着けないと思う」と非情な通告を受けたので仕方なくネットでチケットを取り直そうと試みたのだけれど、チケット代がそこそこ高額なためにSMSで認証をしないと決済が通らないという。が、SIMを現地のものに入れ替えているので、電話番号が変わってしまっていて、フィリピンではSMSを受け取ることができない。万事休す。
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