自分に対する自信は生活をしていくうえで不可欠なものだと思う。あらゆる面で自ら決断をし、成功体験を積んでいくことで身につけることができるが、どうしてもノイズが走る瞬間がある。他人の目線、発言、行動のすべてが疑わしくなり、不安になる。本心を探りたくなる。その時の心情を誰かに吐き出すことはしない。それも私の退屈さや平凡さに対して失望されるのが怖いからだと思う。

似ているなと思う。私も飼っている鳥のように、他者からの愛情を受け続けていたら、何か変わっていたのだろうか。人の選択は今までの経験で決まる。人から暴力を振るわれ、危害を加えられたことのある人間は、何かをしようとする度にそのカードが選択肢のなかに常にある。捨てられることはない。私の心のなかには、いついかなる時も不安と少しの恐怖が眠っている気がする。そんな人間が、他の人と同じ顔をし、同じ考えを持ちながら生きられるのだろうか。きっと無理なんじゃないか。どんな自分も受け入れながら、少しずつ生活を整えていくしかないのではあるが。

人生のやり直しに近いもの

そういう意味で、私は生き物と暮らしていくことに、自分の人生のやり直しに近い感覚を持っている。この不思議な生き物に愛情を注ぎ、ともに暮らしていけるのだろうか。時折、「急に興味がなくなってしまったら」「飽きてしまったら」と思うこともあるのだが、この気持ちすら抱えて、何かと共存しながら生活していくことで、私がどこにでもいる普通の人間であるという証明になるんじゃないか。

三つ子の魂百までを、この年になってやり直している。自分に足りないものに気づく度、生活をよりよくしていくトレーニングを私は繰り返し何度も行う。

Text/あたそ

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