「好き」にはいろんな種類や質がある。誰にもその「好き」を否定する権利はない

「知識ひけらかしおじさん」にならないように

by Melanie Pongratz

私はずっと音楽が好きなのですが、1か月ほど前に「今の若者は自ら音楽を探そうとしない」「音楽に詳しくなろうとせず、友達を作るためのツールになっている」「だから、自分が本当に好きな音楽が何かわからない」という旨の引用RTをいただいて、そこからずっともやもやしているので、気持ちを成仏させるための文章を書きます。

私はこのツイートの通知が飛んできたとき、「あ!老害だ!」と思った。「自分の認める知識水準を持っている若者がいない」という不満がなければ出てこない言葉だから。この男性は何歳なのか、どんな音楽が好きなのかはわからない。でも、私たちは「お前を認めてやる」みたいな、若者を利用して承認欲求を満たしたいだけの知識ひけらかしおじさんからの被害にさんざん困っていたから、この人も同じことを繰り返すんだろうか? と思ってしまった。

だって、自分の認める知識量を持った若者に出会ったら、「あのバンド知ってる?あ~知らないの?駄目だよ~これ好きだったら知っておくべきだよ」とか「やっぱり1stが一番いいよね。〇〇はいつから入ったの?4thアルバムから!若いね~」とか言うじゃん。で、なんかレアっぽいデモテープとか20年前の漫画とか貸そうとするじゃん。相手が面倒臭いがゆえに適当に持ち上げ、頷き、気持ちよく話せる空間を作ってくれていることに気づかないじゃん。さらにその相手が女の子だったりしたら、あわよくば感出してくるじゃん。まあ、すべて私の実体験なんですが……。

と、ここまでぼろくそに書いてしまったが、気持ちはわかる、わかるよ! 私も同じこと思ってたし。「音楽が好き!」とか言いつつ、チャートに入る音楽しか聴かない、邦楽もしくは洋楽しか聴かない、バンドサウンドは無理、アイドルが嫌い、女性ボーカル(男性ボーカル)は好きになったことない、とか色んな人はいて、そういう人に会う度に「はあ?」って思ってた。昔は、話の合う人が全然見つけられなくて、全員流行っている音楽しか聴かない癖に「自称・音楽オタク」を名乗ってて、それに対して不満を持つこともあったなあ、そういえば。でも、そもそも趣味ってそういうものなんですよね。元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんも「音楽は役に立たない。役に立たないから素晴らしい。役に立たないものが存在できない世界は恐ろしい。」って言ってたし。

私は大人になってからやっと気づけたんだけど、趣味って究極的に考えればあってもなくてもいいってこと。私にとっては人生を変えた重要なものだけど、仕事や食べ物、家族とか、生活していくうえで趣味より大切のするべきものってたくさんあると思うし、年を重ねれば重ねるほど、その「大切にするべきもの」の比重も上がる。だからこそ、どんな距離感で接してもいいんですよね。「好き」の種類もたくさんあって、その方向性が自分やライフスタイルと合わないパターンなんていくらでもあるしさ。

オタクにもいろんな種類がいる。たとえば、「ディズニーオタク」と一口に言っても、パークオタ、キャラオタ、ダンサーオタ、ショーパレオタ、キャラグリオタと、かなりの数がいるらしいんですが、それは他の趣味にも言えるわけで。