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  • 2013.02.06

プロローグ:失恋後の苦しみはひとりで引き受けるしかない(1)

どんなに親しい友人でもすべてを
わかってくれるわけではないのが失恋…

Nurture By rickyqi
By State Library of New South Wales collection

 失恋。
それは世間一般では非常にありふれたことですが、当事者にとっては地獄のような苦しみを伴うものです。
そして、ありふれたことゆえにあまり同情してもらえないのも事実。
うかつに人に話そうものなら、

「失恋? えーこないだまで恋してたってことじゃん! うらやましいわ~私なんかもう枯れまくっててそんな話もないもん!」
「私ずっと彼氏いないから、失恋っていうこと自体、遠い話にしか思えない」
「失恋って……。病気とかじゃあるまいし、身体がどうにかなってるわけじゃないでしょ? いいかげん落ち込むのやめなよ」

 と、冷たい言葉が返ってきて、さらに落ち込むはめになったりします。

 たとえ親身に話を聞いてくれる友達がいても、 1ヶ月、2ヶ月、半年経ってもあなたが「元カレがさ~」とことあるごとに話し続けた場合、「(えっ、この人、まだ引きずってるの……?)」と若干引き気味になってしまいます。
もちろん、優しい友達の励ましの言葉はとても大切なもの。
失恋で崩壊しそうな自我を支えるために、これほど大切なものはありません。

 しかし、どんなに親しい友人であっても、恋愛という二人だけの密室の関係について、他人がすべてわかってくれるわけではありません。
わかってもらおうと詳細に話しても、他人の恋のディテールなど、たいていはうっとおしいだけです。

基本的に、失恋の苦しみは、「ひとりで引き受ける」しかないのです。

比喩もいちいちポエム化してしまう失恋直後
そんなやり場のない思いへの対処方法とは

 そして、こんなに孤独でつらく苦しいことなのに、社会には「失恋休暇制度」がありません。
泣いても眠れなくても胃が痛くても、明日は会社に行かなくてはいけないのです。
なんという大変なことでしょうか。

 心は「もう死んでしまいたい」「どこかに消えたい」「海に行きたい」「砂丘が見たい……」と鳥取砂丘に飛んでいるのに、身体はいつも通りに起きて化粧して仕事に行かなくてはならないなんて。
しかも相手が職場で会う人だったりしたら……。
気分はまるで一歩足を踏み出すたびに足の裏に激痛が走る人魚姫です(失恋直後はこのように、比喩もいちいちポエム化する傾向があります)。
悲劇のヒロインなのに、他人から見たらいつもの凡人。激動の内面と変わらない外見のギャップもつらいものがあります。
多少クマができていようが、まぶたが腫れていようが、顔色が悪かろうが、他人は「『とびだせ! どうぶつの森』のやりすぎで徹夜したのかな?」ぐらいにしか思ってくれません。

 今月は、そんなどこにもやり場のない失恋による心の澱を、どのように処理していけばいいのか、失恋というショックな出来事に、どのように対処していけばいいのか、考えていきたいと思います。

 失恋というのは、大変つらい出来事であるのは間違いないのですが、ショックというのはある種の「パワー」でもあります。
恨みつらみや憎しみ、劣等感をバネに社会でのしあがって成功した人がたくさんいるように、失恋という負のショックを、バネのように押し返してプラスの力に変えることもできると思うのです。

 めまぐるしい日常の中で、自分を見つめ直す機会というのは、ありそうでなかなかありません。
せいぜい年末年始に「今年こそは、こういうところを直すぞ!」とその場限りの決意をするか、作りすぎたカレーを三日連続で食べているときなどに「私の人生、こんなことでいいのかなぁ……」と思う程度でしょう。
失恋というのは、一人の時間を作って、自分を見つめ直す機会を与えてくれるものでもあるのです。
自分を整理し、デトックスして前進するいい機会ーー。
恋をすればするだけ味わうことになる「失恋」を、このように捉え直してみませんか?

Text/雨宮まみ

【次回より失恋後の過ごし方をお送りします。お楽しみに!】

プロフィール
雨宮まみ

雨宮まみ

ライター。九州生まれサブカル育ち。守備範囲は「セックス&自意識&女のあれこれ」。
赤裸々な半生を綴った『女子をこじらせて』(ポット出版)は全国のこじらせ女子に大きな影響を与える。
現在、「女子」を語らせたら、この人! という5人を迎えての対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)が絶賛発売中。

ツイッター:@mamiamamiya

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